2021/06/12 07:10

中2いじめで眼底出血、PTSD 鹿児島市教委は重大事態認定せず 2020年度 生徒は今春転校

 鹿児島市の公立中学校で2020年、2年生徒(当時)が同級生から暴力や暴言といったいじめを受け、眼底出血や心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され転校したことが11日、分かった。市教育委員会は、少なくとも21年3月末までいじめ防止対策推進法に定める「重大事態」と認定しておらず、専門家は「速やかに認定、調査すべきで明らかに不適切」と批判している。

 同法は、いじめで児童生徒の生命や心身に重大な被害が生じた疑いや、相当期間(年30日目安)学校を欠席することを余儀なくされた疑いが生じた場合を「重大事態」と定義。速やかに調査組織を設け、事実関係を明確にすることを義務付けている。

 市教委は4月以降、重大事態に認定したかどうかについて「答えられない」としている。

 関係者によると、生徒は20年9月初旬、同級生から頭を扉にぶつけられる暴力を受け、学校が加害生徒を指導。その後も、首を絞めるなどの暴力や「死ね」「殺すぞ」といった暴言は1カ月ほど続いたが、学校は把握できずにいたという。

 10月初旬、被害生徒の保護者が学校に相談。学校は当事者への聞き取りでいじめを確認し、加害生徒が直接謝罪する場を設けた。

 被害生徒は、暴力による首の痛みや精神の不安定を訴え、複数の医療機関を受診。眼底出血、PTSDのほか、頭頸部(けいぶ)外傷、自律神経失調症などと診断され、保護者が学校や市教委に報告した。被害後、21年3月までに計30日以上欠席し、4月に転校した。

 関西大の永田憲史教授(45)=いじめと法=は「眼底出血やPTSDの診断を把握した時点で重大事態として取り扱わなければならない。被害者と加害者の両者への適切なフォロー、再発防止につなげるためにも第三者がきちんと調査するべきだ」と話した。

 市教委の重大事態認定を巡っては、18年に小学校の6年児童がいじめを受け不登校になった事例について今年になって一転、認定。19年に別の中学の2年生徒が心療内科に通院後、転校した事例を重大事態と認定しなかった判断の是非について、第三者委員会に諮ることを今月決定した。