センバツ確実 大島高野球部、強さの秘密は? 練習は効率重視 「島から甲子園」合言葉に幼なじみが力を結集

2021/11/14 11:05
九州大会で4強入りを決め、喜ぶ大島の選手たち=9日、平和リース
九州大会で4強入りを決め、喜ぶ大島の選手たち=9日、平和リース
 鹿児島市で12日まであった第149回九州地区高校野球大会で、大島が準優勝に輝いた。決勝で九州国際大付(福岡)に敗れたものの、県内離島勢としては初の決勝進出を果たし、来春の選抜大会出場をほぼ確実にした。戦いぶりを振り返るとともに、快進撃の要因を探る。

 県予選6試合中4試合でサヨナラ勝ちした勝負強さを、九州大会でも存分に発揮した。

 雨のため再試合となった大分舞鶴との初戦に競り勝ち、準々決勝は集中打で強豪・興南(沖縄)を下して、選抜大会出場が有力となる4強入り。準決勝の有田工(佐賀)戦は5点差をひっくり返した。決勝は序盤に大量点を失い劣勢に立たされたが、最終回に見事な追い上げを見せた。

 日本高野連が定める1週間500球の球数制限の影響で、エース大野が準決勝、決勝は登板しなかったものの、武田主将が粘りの投球を見せた。守備陣も普段とは違うポジションの選手が多い中で、安定感が光った。

 県内公立校の決勝進出は1977(昭和52)年秋の鹿児島商以来。もし優勝していれば、1963(昭和38)年春の鹿児島玉龍以来の快挙だった。

■最大効率

 強豪私立校が全盛の時代に、環境面では恵まれない離島の進学校が躍進。選手たちは「1球1球を大切に、集中して練習してきた」と口をそろえる。

 練習時間は短く、狭いグラウンドを他の運動部と共用。その中で「最大効率」を得るために、それぞれが課題を自覚し、それを克服するため自発的に努力を続けているという。決勝で本塁打を放った美島は「練習後もフォームを意識して150球打ち込む。少しでも空き時間を無駄にしたくない」。

 離島のチームは練習試合の相手が少なく、実戦経験をなかなか積めないのも悩みの種だ。新型コロナウイルス感染拡大がそれに拍車をかけた。県予選、九州大会と続いた公式戦の1戦1戦が、貴重な経験を積む場でもあった。塗木哲哉監督は「試合中に出た失敗を生かして、修正できるようになってきた」と評価する。

■転機

 九州大会の登録選手20人中、17人が奄美大島の出身。他の2人も徳之島、喜界島の中学の卒業生だ。野球を通じ、小さい頃からの顔見知りも多いという。

 2014年に大島が21世紀枠で選抜大会に出場した時は、小学生だった世代。身近な選手たちが甲子園の土を踏んだことも大きな転機となった。

 左腕・大野は複数の私立校から勧誘を受けたが、大島を選んだ。「(捕手の)西田に『島から甲子園に行こう』と誘われた。武田、中、竹山も残ると言った。みんなと島から行く方が、達成感や喜びがあると思った」。島の盛大な応援も大きな励みとなった。

 前山の父で奄美市野球連盟の前山宗之理事長(49)は「『島から甲子園』の目標に本気で取り組んだ子どもたちが集まった。個々よりも和の力」と話す。

 工夫した練習で成長を続け、自力で“聖地”への切符をほぼ手中にした選手たち。選抜大会の出場校選考会は来年1月28日にある。

(結果詳細は南日本新聞でご覧になれます)

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