恐竜などの骨化石が確認された長島町・獅子島の地層。○印内が化石(東京都市大・中島保寿准教授提供)
長島町と東京都市大は15日、同町獅子島の白亜紀中頃(約1億年前)の地層から、恐竜の骨が密集した「ボーンベッド」と呼ばれる層が見つかったと発表した。全国有数の化石産地となる可能性があり、専門家は「恐竜と現代生物の祖先が共存した、当時の生態系解明につながる発見」と強調。町は6月以降、本格的な発掘調査に乗り出す。
ボーンベッドは骨や骨の破片を多く含む地層、堆積物。同大の中島保寿准教授(古生物学)によると、恐竜関連のボーンベッドは福井県や熊本県など全国で10カ所ほど確認されている。
昨年11月、化石採集家の宇都宮聡さん(大阪府)が町の許可を得て調査。東部の海岸地層で多くの化石が露出しているのを発見した。今回採取した約20センチ四方の岩板には、10個余りの骨片が集まっており、密度の高さがうかがえる。中島准教授が一部を解析し、網状の血管が張り巡らされている特徴などから恐竜の骨と特定した。
獅子島ではこれまでに翼竜や首長竜の骨が見つかっている。今回の現場周辺では他にも化石の分布が見られ、海岸一帯に埋まっている可能性が高いという。
白亜紀中頃は、今の生態系を構成する生物が飛躍的に進化した時代とされる。町役場であった会見で中島准教授は「進化の過渡期にあった生態系を復元できるヒントになり得る」と説明。宇都宮さんは「獅子島は化石の宝島。新たな知見が得られるはず」と期待した。
調査は同大や宇都宮さんが中心となり、町が作業を支援する。川添健町長は「大変な発見だと驚いている。多くの人が化石の魅力を感じられる取り組みも考えたい」と話した。