子ども食堂にも物価高の影 食材、弁当容器の値上げ直撃…それでも「苦しい人は増えている」 支援継続に知恵絞る

2022/05/12 21:30
弁当を作る「ナポリ通りのこども食堂」のボランティアスタッフ=鹿児島市上之園町
弁当を作る「ナポリ通りのこども食堂」のボランティアスタッフ=鹿児島市上之園町
 ウクライナ情勢や円安を背景にした物価高が、鹿児島県内の子ども食堂の活動に影を落としている。運営団体は食材の値上がりに苦慮しながら、支援の継続に知恵を絞る。ひとり親世帯などコロナ禍で経済的な苦境に陥った人たちに追い打ちをかけた格好で、関係者は「支援の必要な人は増えている」と訴える。

 子ども食堂の多くは、テイクアウト弁当や食材の配布に切り替えた。月2回、弁当80食を提供する「ナポリ通りのこども食堂」(鹿児島市)は価格上昇に直面し、「値段は安くても栄養価の高い野菜の献立にする」と工夫を凝らす。環境への配慮から紙製の弁当容器を使っており、神野友美共同代表は「容器の価格上昇が気がかり。小麦粉や調味料も心配」と話す。

 地域の子どもや高齢者に月1回200食を提供する枕崎市のスマイルキッチン「にんぎまんま」は、4月から容器代などの値上がりを受けてテイクアウトを大人のみ50円値上げした。茅野寿満子代表は「心苦しい」と打ち明ける。「食用油も高くなっているが、揚げ物が好きな子どものために知恵を絞っておいしい食事を出したい」

 一方で、支援を求める人は増えている。南さつま市でフードバンクや子ども食堂を運営するNPO法人「てしおて」は、支援が必要な子育て世帯に米やレトルト食品などを配布する応援プロジェクトを4月に実施。昨年夏から3回目だが、南薩や鹿児島市などから昨年夏の3倍以上にあたる160件以上の申し込みがあった。崎山尚子代表は「苦しい人たちが増えていることを実感している」と指摘する。

 鹿児島市の30代シングルマザーは小中学生3人の子どもを育てるため、会社勤めに加えて、週末に別の仕事を始めた。以前は週末に開く地域の子ども食堂を利用していたが、今は仕事で行けないという。「教育に必要な物は買わないといけない。値上げ対策は食費を削ることしかできず不安。とにかく自分が収入を増やすしかない」と話す。

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