安倍晋三元首相の国葬を巡り、岸田文雄首相が国会の閉会中審査で実施の妥当性を説明した8日、鹿児島県民からは「税金の使い道として納得できない」という反発や、「世界中から弔意が寄せられている」と賛同の声が聞かれた。
当初示された予備費支出の約2億5000万円から総額16億6000万円程度に膨らんだ費用を、岸田首相は「妥当な水準」とした。
ニュースを見た鹿児島市小川町の女性(70)はコロナ禍で廃業したり自殺したりする人がいることを挙げ、「国民の生活を良くするために別の使い道があるのでは。このまま突き進むのか」とつぶやいた。岸田首相が強調した「歴代最長の在任期間」「外交的遺産を受け継ぐ」といった理由も「拉致問題は解決していない。あいまいな説明に終始した問題も多い」と批判した。
日置市吹上の自営業女性(67)は、森友・加計学園問題、桜を見る会といった疑惑を問題視する。「うやむやな点があるだけでも、国葬はふさわしくない」とばっさり。「岸田首相が国葬を利用した外交をしたいのではないか」といぶかった。
首相が「民主主義を断固として守り抜く決意を示す」としたことに対し、鹿屋市新川町の自営業男性(62)は「銃撃事件は民主主義への暴挙。安倍氏だからというより、凶弾に倒れた政治家を弔うことで国家としての誇りを保つことになる」と支持。約16億円の費用も「日本の立場を国内外に示す意味でも妥当な金額。二の足を踏むべきではない」と話した。
鹿児島市常盤1丁目の会社経営男性(80)は世界中からの弔意について、「外交面の実績が評価されている証し。在任期間も含めて国葬は妥当な判断」と賛同。一方で、国葬を決めるまでの流れに「まず費用や意義をしっかり国民に示し、国会で議論を尽くすべきだった」と指摘した。