福井県立恐竜博物館でテレビのバラエティー番組を撮影中(中央付近で正面を向いているのが筆者)。タレントの滝沢カレンさんに博物館の見どころと恐竜の楽しさを紹介している=2018年6月
■サラリーマン化石ハンター・宇都宮聡さん
恐竜は、広告・宣伝の世界で最強のコンテンツ(価値ある情報)の一つといわれています。博物館の恐竜展をはじめ、本、映画、おもちゃ、グッズなど、恐竜をテーマにした商品やイベントは男女問わず幅広い世代に人気があります。子ども時代の恐竜への憧れをそのまま持ち続けている大人もたくさんいます。
恐竜コンテンツの潜在的な力をいち早く見抜き、県外からの観光客集客の目玉に据えた国内最初の自治体は、福井県でした。
有名な福井県立恐竜博物館(同県勝山市)は、白山にほど近い、辺ぴな場所に建てられています。にもかかわらず、毎年100万人に迫る来館者があり、観光の目玉になっています。福井県の事例は、恐竜が強力なコンテンツであることを、明確に示しています。
では、福井県と鹿児島県とで、古生物の埋蔵量に開きがあるかというと、筆者の目には、大きな差は無いと感じています。むしろ恐竜だけでなく、クビナガリュウなどの海生爬虫類(はちゅうるい)の化石もある鹿児島県に分があるかもしれません。
3月、獅子島での恐竜ボーンベッド発見の記者会見で、川添健・長島町長は、地域おこしにつながる恐竜発掘への支援を明言されました。獅子島調査の予算は、この9月の町議会で承認され、11月にも発掘調査隊の活動が正式にスタートすることになりました。
発掘現場から最新の情報を発信できること、今からワクワクしています。
【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2021年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。
(連載「じつは恐竜王国!鹿児島県より」)