続・アラフォー記者、鹿児島のガチの穴場を一人旅 甑島の断崖ツアー、客は1人で貸切状態 「ワー」と叫んで気分爽快

2023/07/27 19:06
甑大橋(奥)や断崖絶壁などの眺望が楽しめるクルーズ=薩摩川内市の甑島沖
甑大橋(奥)や断崖絶壁などの眺望が楽しめるクルーズ=薩摩川内市の甑島沖
■クルーズ船が穴場

 2日目。中甑漁港発着の観光クルーズ船で、海からしか見られない絶景を1時間かけて巡る。古くは8000年前(白亜紀)の地層から形成された断崖絶壁や、個性的な形の巨岩群があちこちにある。場所によっては、船で数メートルの距離まで近づくので迫力満点。スポットごとに、地層の成り立ちや見どころのアナウンスもあり楽しい。

 この日は、あいにくのしけで、通常の西海岸ではなくて東海岸コースの運航だった。客は記者1人だけ。つまり貸し切り。ぜいたくに潮風に吹かれ澄んだ海を眺めた。

 全長1533メートルの甑大橋は県内最長の道路橋で、真横から見るとその長さが際立つ。途中、ゴリラや馬のたてがみに見える岩などもあり、東海岸コースでも十分楽しめた。

 昼食は中甑漁港の旧旅客待合所を改装して16年にオープンした飲食店「コシキテラス」。高さ200メートルの断崖をイメージした「断崖バーガー」が味わえる。島の名産のキビナゴのフリットや、タカエビと白身魚で作ったカツを一度に食べられてボリューム満点。しかし、朝ご飯をおなかいっぱい食べたアラフォーは手を出せなかった。

■叫べる穴場

 クルーズ船から眺めた甑大橋を車で走ってみた。空と海に囲まれ、通行量もわずか。せっかくだから窓を全開にして「わーーーーー」と日常では出さない声量で叫んだ。気分爽快、ストレス解消。

 この大橋を見下ろせるのが、下甑島の「鳥ノ巣山展望所」だ。斜面には、ちょうど見頃のカノコユリが咲いていた。緑の大地にピンクの花、青い空と海…息を飲む美しさに見とれた。

 展望所を下った場所にある「甑ミュージアム恐竜化石等準備室」では、サウロロフスなど6種類の全身骨格が出迎えてくれた。日本で最後まで生きた恐竜の一種で、上甑島で見つかったハドロサウルス類の大腿(だいたい)骨や、甑島の名前が付いた化石など、見応えある展示がそろう。自由研究にも役立ちそう。2025年4月の本オープンに向けた準備のため、今年9月以降は順次閉館となる。

 残念ながら、ここで帰りのフェリーの時間が迫ってタイムオーバー。1.5キロの白浜ビーチが美しい手打海岸やナポレオン岩など、たどり着けなかった場所がたくさんある。甑島は丸2日か2泊3日の日程でのんびり満喫してみたい。マリンスポーツも挑戦したかった。

 島にコンビニはなく、予約なしで食事ができる店も多くない。地元の旅行業者こしきツアーズの齊藤純子さん(41)は「観光地化されていない島らしい島。楽しんでもらうには、現地での移動手段や食事など、事前に計画を立てて来てもらうのがベスト」と話す。

 駆け足で巡る旅となったが、どこの穴場も「推す声」に納得だった。

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