22日に米軍無人機のオーバーランが起きた海上自衛隊鹿屋航空基地=23日、鹿屋市の同基地
海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で22日に米軍無人偵察機MQ9が滑走路を外れてオーバーランした事案は、29日で発生から1週間がたつ。逸脱した距離など詳細は不明で、九州防衛局の説明も一貫していない。海自関係者は「ちぐはぐな対応」と指摘した上で、任務への影響を懸念する。
鹿屋市によると、25日夕に九州防衛局の担当者が中西茂市長を訪問。「事故を調査し、結果を地元に説明するまでは無人機運用を行わない」とする米軍の回答を受けたと説明した。
事実上の飛行停止と受け取れるが、県は「発生当日以降、連絡はない」とする。九州防衛局の報道官も「停止かどうか確認中」としており、3者の認識には違いがある。
一方、トラブルの詳細はいずれも当初説明から更新はない。在日米軍司令部は取材に対し、28日夜までに回答しなかった。
オーバーランを巡っては、防衛局が発生翌日の23日、報道各社の問い合わせに答える形で説明した。今後の情報提供について、市は県と対応の見直しを含めた事務レベルでの協議を始めた。中西市長は「まずは国が丁寧に情報発信すべきだ。明確で具体的な説明がないままの再開はあり得ない」と話した。
鹿屋基地の群司令を務めた元海将補の中村敏弘氏(58)は「見過ごせない対応だ。防衛省は即日公表し、地元側も公表を求めてほしかった」と指摘。「馬毛島をはじめ、今後も鹿児島で米軍と地元の協力は必要になる。最初だからこそ、くぎを刺すべきだ」と話す。その上で、11月に1年間の配備期限を迎える鹿屋のMQ9運用期間が長期停止し、支障が出る事態を懸念した。