墜落したとみられる機体と同型の米空軍CV22輸送機オスプレイ=2018年6月、奄美市の奄美空港
鹿児島県屋久島沖で29日墜落したCV22輸送機オスプレイを巡っては、米空軍が2022年8月、クラッチの不具合による事故が相次いでいるとして全機を一時飛行停止としていた。鹿児島県内の空港への緊急着陸も頻発している。死亡した1人が搭乗員と確認されれば、オスプレイで国内初の死亡事故となる。
鹿児島県内では米軍普天間飛行場(沖縄県)所属のオスプレイが緊急着陸するケースが目立つ。今回事故を起こしたCVも18年に奄美空港に緊急着陸し、駐機は異例の1カ月に。軍事評論家は「深刻なトラブルがあったことは疑いようがない」と指摘した。
今年9、10月は急増。9月14~21日にかけ、整備用機材の輸送などを含めて奄美空港に着陸したのは延べ9回に上った。10月19日も天城町の徳之島空港に2機が着陸。他に新石垣空港(沖縄県)や大分空港にも降り立った。
鹿児島県の民間空港には22年、オスプレイを含む米軍機が111回着陸した。過去10年間で最も多く、都道府県別で2年連続最多だった。内訳は例年多い奄美は50回(前年比7回増)、種子島は49回(同21回増)、与論は12回(同12回増)。
オスプレイの事故は多発している。今年8月にはオーストラリア北部で墜落し、兵士が犠牲となった。22年にも米カリフォルニア州の砂漠で墜落事故が起きた。国内では16年12月、沖縄県名護市沖に不時着して大破、搭乗員2人が負傷した。
米軍は空軍のCVのほか、MV(海兵隊)、CVM(海軍)の3種を配備。主に輸送機として使用する海兵隊仕様のMVに比べ、CVは夜間や低空飛行など過酷な条件下で運用する例が多い。
日本は米国以外で初の運用国となり、陸自がV22を17機導入。離島防衛を担う水陸機動団(長崎県)との一体運用で佐賀空港が配備予定地となっている。