発見された化石と体の部位(中島保寿・東京都市大准教授提供)
東京都市大などのチームは26日、鹿児島県長島町獅子島にある約1億年前の地層から東アジア最古のウミガメ化石を発見したと発表した。都市大の中島保寿准教授(42)=古生物学=は「ウミガメが分布を広げていった過程をたどる上で、重要な発見」と話している。チームは化石を「サツマムカシウミガメ」と命名した。
本紙に「じつは恐竜王国! 鹿児島県」を連載中の化石採集家、宇都宮聡さん(54)=パナソニック、大阪市立自然史博物館外来研究員=が発見した。2020年11月、獅子島幣串の海岸で複数の骨化石を含む石灰質の団塊(ノジュール)を採取し、中島准教授がコンピューター断層撮影(CT)で分析した。
化石は頸椎(けいつい)の神経弓(長さ2.5センチ)と、腹甲の一部(横幅4.2センチ)の2点。ともに現在のウミガメや絶滅したウミガメの仲間の骨と特徴が一致した。骨の大きさから、甲羅の長さは70センチ以上と推測される。
チームによると、ウミガメは後期白亜紀(約1億500万〜6600万年前)に世界中へ分布したとされる。だが、8500万年以上前の化石は少なく、ヨーロッパや南米北部、豪州、ロシアといった地域にしかなかった。チームは今回の発見を「後期白亜紀初期の北太平洋にもウミガメが生息していた証拠」と位置づける。宇都宮さんは「全体像解明にはさらなる追加調査が必要」と調査継続を訴えた。
チームはフィギュア製作の海洋堂(大阪府)とともに、サツマムカシウミガメの姿も復元した。