「マヤの一生」や学徒動員に関する資料が並ぶ「椋鳩十と戦争」展=姶良市の椋鳩十文学記念館
戦時中、鹿児島県姶良市加治木で暮らした児童文学作家・椋鳩十(1905~87)の見た戦争とは-。加治木の椋鳩十文学記念館で「椋鳩十と戦争」展が開かれている。愛犬を殺された実話に基づく代表作「マヤの一生」への思いや、加治木高等女学校生の学徒動員で長崎の軍事工場に引率したことを文章や写真で振り返る。
来年1月の生誕120周年を記念した企画展で、同館が初めて「戦争」をテーマに据えた。
食糧難が深刻化し飼い犬がぜいたくとされ処分された体験を作品化した理由を書いた文章を展示。「権力というものは恐るべき怪物」で「極限状態となると、むきだしに、人びとを引っ張り込んでしまう」ことを感じてもらいたかったという。軍事工場での教え子の様子は「霜焼けの手で一生懸命働く姿を見ると、涙が出そうになった」。多くの死傷者を出した加治木空襲の写真も展示している。
森田裕二館長は「椋鳩十の平和や自由に対する思いを知り、命の尊さを考える機会になれば」としている。
9月1日まで。一般330円、小中生220円(姶良市内小中生無料)。7月31日、8月3、17日午後2時半から椋作品の朗読イベント(無料)がある。同館=0995(62)4800。