城山ストアーフレッセ高見馬場店のみそ売り場。取り扱う商品は麦みそ(合わせみそ含む)で8割を占める=鹿児島市西千石町
「各都市で値上げ幅が大きかった主な食品」の表を見ると、鹿児島では他都市で上位にはない「米みそ」がリスト入りしている。値上がり幅も1.81倍と高い。なぜか。
「鹿児島は麦みそが主流だからではないでしょうか」。そう話すのは、鹿児島県味噌醤油(みそしょうゆ)工業協同組合。表に引用した総務省統計局の小売物価統計調査は「全国的規模で調査可能な品目」として「米みそ」を対象とするが、県内で消費されるみそは麦が約8割を占め、米は2割程度だ。そのため、県内に競合メーカーが少ない米みその価格は「県外主要メーカーの意向がストレートに反映されやすくなる」とみる。
業界最大手のマルコメなど県外主要メーカーが本拠地を置くのは、みそ一大産地の長野県。「麦みそ文化」が根付く九州の中でも、特に産地から遠い鹿児島は原料である米の価格高騰に加え、物流コスト上昇の影響を受けやすいと考えられる。
また、比較した20年6月時の鹿児島の米みそ価格が安かったことも、値上げ幅が他県より大きくなった理由の一つだ。原因は分からないが、当時の価格は231円で、九州で最高値だった熊本市より160円抑えられていた。
組合の担当者は「米みそでの比較だと、県内の需要や価格の現状を端的に表しているとは捉えがたい」と話す。ただ、今後の値上げに関しては「麦みそも楽観視できない状況にある」。
実は22年、米みそと足並みをそろえるように、麦みそを手がける大分県の大手メーカーが値上げした。鹿児島県内の蔵は価格が落ち着くのを待って翌23年に値上げに踏み切っている。このことから、組合も価格上昇の波が県内に及ぶのはかなり後だと予測している。