廃止まであと3カ月…現行の健康保険証「残してほしい」が8割 地方紙18社合同アンケート 「マイナ一本化」への不安や異論、依然根強く

2024/09/03 16:00
「マイナ保険証」を使う理由は? 主な回答をグラフで見る
「マイナ保険証」を使う理由は? 主な回答をグラフで見る
 健康保険証の廃止まで3カ月を切った。本紙「こちら373」など読者とつながる報道に取り組む地方紙18社は、マイナンバーカードに保険証機能を持たせた「マイナ保険証」に関する合同アンケートを実施した。現行の保険証を残してほしいという意見が8割を占め、依然として廃止への不安や異論が根強い現状が浮かんだ。

 アンケートは18紙が8月9~18日に通信アプリLINE(ライン)などで呼びかけ、1万2007人が回答した。回答者の年代は、30代以下が9.8%、40~60代が71.6%、70代以上が18.6%。アンケートは多様な声を聞き取るのが目的で、無作為抽出の世論調査とは異なる。

 マイナカードを持っている人は7729人(64.4%)。そのうちマイナ保険証として使用中、あるいは使用予定の人は65.0%に上った。使う理由は複数回答で「従来の保険証が廃止されると聞いたから」(48.0%)が最多。「病歴や薬歴を説明する手間が省ける」(38.4%)が続いた。

 一方、保険証として使わない人は2703人(35.0%)。理由を尋ねると「従来の健康保険証が使いやすい」(63.7%)、「情報漏えいが不安」(63.0%)が多かった。

 政府の健康保険証廃止方針について「マイナ保険証導入をやめて」(42.0%)と「選択制にして」(39.8%)と現行の保険証の維持を支持する意見が全体の8割を超えた。マイナ保険証を使う人でも、47.8%が選択制を支持した。「現行の保険証をなくし、マイナ保険証に一本化」を支持した人は全体の2割ほどだった。

 発行済みの現行の保険証は12月2日に廃止後も最長で1年間、使い続けられるが、回答者の約1割は「12月2日から使用できなくなる」と誤解していた。

 実施した18紙は次の通り。
 東奥日報(青森)▽岩手日報▽河北新報(宮城)▽秋田魁新報▽上毛(群馬)▽東京▽神奈川▽新潟日報▽北陸中日(石川)▽福井▽信濃毎日(長野)▽岐阜▽京都▽中国(広島)▽西日本(福岡)▽熊本日日▽南日本(鹿児島)▽琉球新報(沖縄)

◇「手続き簡単に」「情報漏れ心配」…鹿児島県民の声

 「マイナ保険証」に関する合同アンケートの回答者のうち、鹿児島県在住者は374人だった。マイナカードを持っている人は303人で、健康保険証として使っている人は172人(56.8%)だった。保険証として、現在も今後も使うつもりがないは68人(22.4%)いた。

 自由記述には、使っている人から「確定申告の医療費控除で領収書の計算が必要なく助かる」(鹿児島市・52歳男性)、「入院する際、役所で手続きしなくても限度額適用認定証が使えたのは便利だった」(いちき串木野市・49歳男性)、「問診に過去の情報を書かなくても良いから楽」(鹿児島市・72歳女性)と、手続きの簡素化などで利便性を感じている声が寄せられた。

 一方、「個人情報が拡散しやすくなるのではないか」(日置市・60歳女性)、「(医療機関などは)情報がどこまで分かるのか。何かあった時に政府は助けてくれるのか」(鹿児島市・67歳女性)といった情報管理への懸念が、マイナ保険証の使用や不使用を問わず目立った。

 またマイナ保険証への一本化を急ぐ政府に対し「取得は任意のはず」(鹿児島市・79歳男性)、「認知症などでカードの保管や使用について理解がままならない人もいる。一方的な制度変更は乱暴ではないか」(日置市・73歳男性)などと疑問を呈する声も。病院や薬局で機器の不具合や顔認証が失敗したトラブルを打ち明ける人も多く「システム障害が時々あるのに、なぜ推進するのか」(さつま町・74歳男性)との指摘もあった。

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