海上保安庁の巡視船艇の乗組員が航海日当を不正受給していた問題で、29隻中8隻で不正受給が確認されている第10管区海上保安本部は12日、南日本新聞の取材に「本庁から調査を受けている立場で、不正に関与した人数や金額は把握できていない」と答え、「服務規律を徹底し再発防止策を着実に実施する」とした。
同庁によると、航海日当の監査は請求書類と、通過した地点の日時などを記録する航海日誌の整合性で確認していた。客観的な資料は不要で、虚偽の日誌を提出しても見抜けない仕組みになっていた。
同庁は8月9日付で(1)チェック体制強化(2)GPS記録を活用した航跡図など客観的な裏付け資料の添付(3)コンプライアンス研修の実施-を各管区に求めた。
一連の問題は、6月中旬に公益通報で佐世保海上保安部(長崎県)で発覚。同庁が全国的な調査を進めている。11日時点で71隻の374人が約15万6000円を不正受給していた。同庁は今後、過去3年分、約9000人を調査するとして、関与した人数や金額は広がる可能性がある。