中秋の名月の下、掛け声に合わせて踊りを披露する子どもたち=17日午後7時25分、南九州市知覧の中福良地区公民館
国の重要無形民俗文化財「南薩摩の十五夜行事」の一つ「ソラヨイ」が17日夜、鹿児島県南九州市知覧であった。締め込み姿に円すい形のわら帽子をかぶった子どもたちが中秋の名月の下、相撲の四股に似た踊りで秋の実りに感謝し、来年の豊作を祈った。
中福良地区公民館の広場では、小学生の男子6人が登場。中学生が持つわらの山がさの回りを「ソラヨイ、ソラヨイ、ソラヨイヨイヨイ」と声を上げて回り、力いっぱい地面を踏みしめた。先導役を務めた中福良小6年の篭原優信さんは「練習では不安もあったけど、大きな声が出せた」と笑顔で話した。
同市文化財課によると、ソラヨイは「それは良い」の意で、山の神に扮(ふん)した子どもが大地の神と交信するとされる。かつては20以上の集落で行われたが、少子化とともに減少し伝統的な装束で行うのは同地区だけになった。