選考会で議論を交わす南日本文化賞の選考委員=2日、鹿児島市の南日本新聞社
芸術や産業経済など郷土の発展に貢献した個人・団体を顕彰する第75回南日本文化賞(南日本新聞社主催)は27日、チェロ奏者で霧島国際音楽祭音楽監督の堤剛氏(82)=学術教育部門、薩摩川内市の「川内大綱引保存会」(会長・橋口知章氏)=同、奄美大島のマングース根絶に尽くした「奄美マングースバスターズ」(代表者・松田維氏)=社会部門=に決まった。
贈賞式は11月1日、鹿児島市の城山ホテル鹿児島である。
選ばれた1個人、2団体は地域に根ざした活動で成果を上げてきた。
堤剛氏は日本を代表するチェリストで、1991年に霧島国際音楽祭に講師として初参加。創設者の故ゲルハルト・ボッセ氏の指名で2001年に音楽監督を引き継いだ。45回の節目だった今夏は、東京公演を開くなど、歴史ある音楽祭として国内外に定着させた。
川内大綱引保存会は薩摩川内市で400年以上続く伝統行事「川内大綱引」を存続させる目的で1985年に設立された。子ども大綱引を催して後継者育成に力を注ぎ、健全な行事開催に尽力してきた。今春、国の重要無形民俗文化財に指定された。
奄美マングースバスターズは環境省の委託で2005年結成。毒蛇ハブ駆除のため奄美大島に持ち込まれながら、島固有の希少種を襲っていたマングースの駆逐が目的だった。3万2000匹以上を捕獲し今年9月に環境省が根絶宣言をした。活動は世界自然遺産登録の際にも高く評価された。
選考は津曲貞利氏(津曲学園理事長)を委員長に、久保千春氏(中村学園大学長)、楠元香代子(鹿児島市立美術館長)、笹川理(みち)子氏(九州弁護士会連合会前理事長)、佐潟隆一・南日本新聞社社長が当たった。
笹川氏は元MBCキャスターの山縣由美子氏に代わり、今回から委員に加わった。鹿児島県弁護士会に1996年に初の女性として弁護士登録し、同会会長などを歴任した。
受賞者の横顔は10月下旬に特集紙面で紹介する。