調理で出た野菜くずを捨てる喜入学校給食センター職員=鹿児島市喜入町
鹿児島市喜入の市観光農業公園グリーンファームで、喜入地域の学校給食の残渣(ざんさ=食材かすや残飯)を再利用し、黒豚のえさとして飼料化する試みが進んでいる。栄養バランスの整った給食残渣は、豚の成育に好影響を与えている様子。10月から本格実施となり、給食センターや域内7小中学校から出る全量が飼料に生まれ変わる。
同園は2012年の開園当初から、園内レストランの食品残渣を飼料にする「エコフィード」に取り組んできた。豚舎横の機械で異物を除去し高温殺菌。水を加えて混ぜ、液状にする。発酵させた上で固形飼料と混合し、園内で飼育する黒豚に与える。
給食残渣の再利用は23年9月、資源の地域内循環を進めようと試行を始めた。黒豚飼育を受託するノガミ産業の野上直樹社長(52)は「給食は脂っこくないなど栄養バランスが良く、豚の成育にも良い」と話す。豚が食欲をなくしがちな夏場は、液状えさの比率を高めて食べやすくしており、「給食を使ってから、食いつきがより良くなった気がする」という。
喜入学校給食センターが、域内の6小学校と1中学校に提供する給食は平日1日当たり計820~830人分に上る。残渣は年間数トンに及ぶと推計されるが、全て可燃ごみとして捨てられてきた。同センターの増永一郎所長(55)は「エコフィードにより食品ロスを大幅に減らせる。子どもたちが環境問題や食糧問題について考えるきっかけにもなれば」と期待を寄せる。
野上社長は「地域の子どもたちと共に育った黒豚だと思ってほしい」。肉質の向上にもつなげ、喜入の名を冠したブランド黒豚にする夢を語った。同園は11月、黒豚肉を食べられるイベントを開催する予定。