農相は「本望の職務」…初入閣の小里泰弘氏に高まる生産者の期待「持続可能な農業実現を」「離島のハンディなくして」

2024/10/02 06:30
首相官邸から呼び込みの電話を受ける小里泰弘農相=1日、東京・永田町の衆院議員会館
首相官邸から呼び込みの電話を受ける小里泰弘農相=1日、東京・永田町の衆院議員会館
 石破新内閣が発足した1日、農相に小里泰弘議員(衆院比例九州)が就いた。党農林部会長や農水副大臣、首相補佐官農山漁村地域活性化担当を歴任し農政経験が豊富。鹿児島県の基幹産業である1次産業は生産資材の価格高騰や担い手不足で厳しい経営環境にあり、生産者らは手腕に期待するとともに持続可能な農林水産業の実現を求めた。

 小里氏は5月、首相補佐官として徳之島を訪れ、農家らと車座対話した。参加した和牛の繁殖農家で徳之島指導農業士会の竹田邦男会長(52)=天城町=は「生産資材が高騰する中、輸送面でさらなる負担を強いられている」と離島の窮状を訴えた。「要望を直接伝えた人が大臣になり期待は大きい。離島のハンディをなくしてほしい」

 「農政が得意分野の人だからぴったりの役職」と喜ぶのは伊佐森林組合の河野辰男組合長(72)。国内の人工林は植林から50年を超えて利用期を迎え、伐採が進んでいる。「小里さんも山を持っていると聞いた。当事者意識を持って、材木の価格適正化などに取り組んで」と激励する。

 県酪農政治連盟の川崎悟委員長(63)=霧島市=も「補佐官の時も全国を熱心に回っていたので適任だろう」とみる。乳価は生産者が求める水準には遠く、餌代や電気代の高騰が経営を圧迫。県内の酪農家はこの5年で約3割減った。事業承継に向け研修生を受け入れる川崎さんは「課題は山積みだが、とにかく若い人が農業をやりたいと思える環境づくりを」と切実だ。

 コスト上昇に苦しむのは水産業も同じ。カンパチの養殖・輸出販売を手がける小浜水産グループ(垂水市)の小浜秀則会長(74)は、ここ4、5年で餌代が倍増したと明かす。地元はカンパチの養殖が盛んで、輸入頼みの稚魚も値上がりし、周囲からは悲鳴が聞こえている。持続可能な水産業にするために「輸出促進や昆虫などの代替飼料、人工種苗の開発・普及が必要不可欠」と強調した。



 1日、農相に就任し初入閣を果たした自民党の小里泰弘氏は祝いの電話やマスコミ対応に終日追われた。首相官邸からの呼び込み電話が入ったのは午後4時15分ごろ。記者から農相としての意気込みを問われ「まさに私にとって本望の職務。これまでの支援に心から感謝し、しっかり頑張る」と部屋を出た。

 石破茂首相が党政調会長時代、東日本大震災対策を連携して進めたほか、ジビエ議連でともに活動するなど親交が深く、総裁選でも推薦人を務めた。石破氏を「決断力があり、仕事を任せてくれるなど、リーダーの要素を備えている」と評価し、農相として政権を支える決意を新たにしていた。

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