「現場の声を聞き政策に反映させたい」と話す小里泰弘氏=1日、東京・永田町の衆院議員会館
自民党の小里泰弘衆院議員(66)=霧島市出身、比例九州=が1日、農相に就いた。党農林部会長や農林水産副大臣を歴任し、岸田政権下では農山漁村地域活性化担当の首相補佐官を務めるなど農業分野で豊富な経験を持つ。食料安全保障の確立を理念とする改正食料・農業・農村基本法が成立し、転換期を迎えた農業政策をどう進めるか抱負を聞いた。
-初入閣の心境は。
「地元の運動会回りで移動中に森山裕幹事長から一報を受けた。農林水産分野はライフワーク。大きな感激と緊張感を持ち受け止めている。私の実家は元々農家だ。農政には思いがあり、まさに本望。現場本位で政策を進めたい」
-改正農基法に基づき具体的施策や目標を定める基本計画の年度内策定に向け議論が本格化する。
「世界情勢の変化や気候変動による災害の激甚化、人口減少など農業を取り巻く課題は多い。まずは食料安保の確立。生産量向上と環境負荷軽減との両立を目指す戦略の強化も必要になる。地域政策を含めた農村の振興も計画を議論する上での重要な方向性だ」
-農家の所得向上をどう実現する。
「農家にとっての賃上げは価格転嫁だ。原材料価格や人件費など上昇したコストが価格に転嫁されなければ経営は成り立たない。農は国の基。食料の安定供給が農水省の最も大切な役割だ。適切な価格形成を図るための法制化を含め、生産者の事情を消費者に理解してもらえるよう努めなくてはならない。高付加価値化や有機栽培も後押ししたい」
-コメの品薄が続いた。
「情報不足が原因。消費者が冷静に判断できるよう、在庫や出荷状況、今後の見通しをタイムリーに情報提供していくことが大切だ。新米が店頭に並び始め、品薄感は落ち着いていく」