〈衆院選〉鹿児島選挙区で立民の川内、野間氏が勝利 無所属・三反園氏も 自民は森山氏の1勝のみ 投票率53.49%

2024/10/28 01:52
当選確実となり万歳で喜ぶ野間健さん=27日午後10時14分、薩摩川内市御陵下町
当選確実となり万歳で喜ぶ野間健さん=27日午後10時14分、薩摩川内市御陵下町
 27日投開票の衆院選で12人が立候補した鹿児島県内4選挙区は、立憲民主前職の川内博史氏(62)と野間健氏(66)が1、3区で当選を、無所属前職の三反園訓氏(66)が2区当選を確実にした。前職4人を擁立した自民は4区、森山裕氏(79)の1議席にとどまった。1区の自民、宮路拓馬氏(44)は比例復活した。現行の小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、自民が小選挙区の議席で半数を割ったのは初めて。小選挙区の県内投票率は53.49%で、前回2021年を4.22ポイント下回った。

■1区

 前職同士が対決した1区は、立民の川内博史氏(62)が自民の宮路拓馬氏(44)との競り合いを制した。

 川内氏は自民党派閥の裏金事件を追及し、政権批判の受け皿となった。自民非公認候補が代表を務める政党支部への活動費2000万の支給が報じられると、非難を強め勢いは加速。立民の野田佳彦代表も駆け付け、無党派層を味方に付けた。地域をくまなく回り街頭演説を繰り返す“草の根活動”に徹し、女性や高齢者らに広く浸透した。

 宮路氏は地元議員や友好団体の協力を得て組織戦を展開。石破茂首相や野田聖子元総務相も駆け付け、てこ入れを図った。女性活躍推進など「自民らしくない」政策を強調し裏金問題の批判をかわそうとしたものの、逆風が直撃した。

 参政新人の昇拓真氏(34)は若さを前面に打ち出し、減税や財政出動を唱えたが、知名度不足が響いた。

■2区

 元鹿児島県知事で無所属前職の三反園訓氏(66)が、自民前職の保岡宏武氏(51)、維新新人の辻健太郎氏(38)、共産新人の松崎真琴氏(66)、参政新人の矢竹ゆかり氏(61)との5人の争いを制し、2度目の当選を確実にした。

 無所属ながら自民会派で活動してきた三反園氏と、昨年2月に祖父の代から縁の深い2区の党支部長に就いた保岡氏の保守分裂選が軸となった。

 三反園氏は前回選挙と同様に元知事の知名度を生かし、草の根で活動を展開。比例区では公明党への投票を呼びかけ、選挙区で「公明票」の取り込みを図った。一部地域では自民系議員も応援に回り、鹿児島市谷山や出身地の南薩に加え、奄美市でも保岡氏らをリードした。

 保岡氏には、石破茂首相ら党幹部が続々と応援入り。友好団体や企業の組織を引き締めた。しかし、地元で支持が割れていることを理由に公明の推薦は最後まで得られず。ルーツである奄美で大差をつけられなかった。

 辻、松崎、矢竹の3氏は、政権批判票の受け皿を目指して支持を訴えたが伸び悩んだ。

■3区

 立民前職の野間健氏(66)と自民前職の小里泰弘氏(66)との一騎打ちは、野間氏が当選を確実にした。現行の選挙区割りとなって以降、3回連続の対決だった。

 野間氏は有権者のもとを細かく回る従来の活動を選挙戦でも展開した。女性や高齢者に優しい政治を掲げる一方で「生活保守」の政治姿勢も強調。保守層から無党派層まで幅広い支持を取り込んだ。前回も票数で上回った有権者数1、2位の薩摩川内市と姶良市を固めたのに加え、僅差で及ばなかった3位の出水市でも小里氏を上回った。

 小里氏は農相就任や岸田政権で務めた地域活性化担当首相補佐官の実績をアピールし、地元議員や支援団体の力も借りて組織戦を展開。地方創生を重視する石破茂首相も応援に入ったが、及ばなかった。自民支持層も一部は野間氏に流れたとみられる。

■4区

 自民党幹事長で前職の森山裕氏(79)が、社民新人の山内光典氏(73)を大差で引き離し、8度目の当選を果たした。

 森山氏は党要職を歴任し中枢で政権を支えた実績を強調した。本人が他候補応援でほぼ地元入りできない中、地域支部や友好団体、地元議員を中心に綿密な組織戦を展開。期日前投票への呼びかけも徹底し、終始戦いを優位に進めた。

 山内氏は西之表市馬毛島の自衛隊基地整備反対を訴え街頭演説を中心に活動。裏金問題や物価高騰による政権批判票の掘り起こしを図ったが浸透しなかった。

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