西之表市長選は史上最多7人で争う公算に 元市職員の鮫島氏が出馬へ(解説付き)

2024/11/01 09:30
鮫島 斉氏
鮫島 斉氏
 元西之表市職員の鮫島斉(いつき)氏(47)が31日、任期満了に伴う同市長選(来年1月26日告示、2月2日投開票)に無所属で立候補すると表明した。馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、賛否を明言しない現職のリーダシップを疑問視。「共存の方向性を明確に示し、10年後の市の姿を想像して行政運営を進めたい」と述べた。

 これまでに立候補の意向を示した現職と新人5人を含め、史上最多7人による争いとなる公算が大きい。

 鮫島氏は会見で、基地整備について「軍事活用は好ましくないが、工事を止めるすべはなく、受け入れざるを得ない」と容認の立場を説明。「市は積極的に情報収集し、現状分析・検証した上で市民の不安解消を図るべきだ」と主張した。

 市の根本的な課題として少子化対策を挙げる。「出生率、人口の現状維持が現実目標。島ならではの魅力を掘り起こして人を呼び込むとともに、支え合いのまちづくりを目指す」と強調。行財政改革の必要性にも触れ、「人口規模に見合う行政サービスにしなければ、職員は新たなチャレンジができない」と指摘した。

 西之表市住吉出身。種子島高校を卒業後、同市役所に入り、広報係や文化財係を担当。経済観光課ふるさと納税係長を最後に6月末で退職した。

 鮫島氏のほか、市議杉為昭氏(58)、元市議浜上幸十氏(74)、会社役員池田恵衣子氏(69)、会社員鎌田孝章氏(45)が基地整備に賛成、容認の考え。現職の八板俊輔氏(71)は賛否を明言しておらず、医師三宅公人氏(72)は反対を掲げる。

【解説】馬毛島巡る不満の表れ

 西之表市長選は告示まで3カ月を切った。現職が集大成となり得る3期目を目指す中、新人6人が名乗りを上げるのは極めて異例。積もり積もった不信感が表面化したと言える。

 乱立の根本的要因は、馬毛島の自衛隊基地整備を巡る対応にある。現職は過去2度の市長選で反対の立場を取りながら、「行政手続き」の名目で国の動きに追随。いまや賛否に踏み込まなくなってしまった。

 真意や方向性が見えない市政運営に、基地賛成派は最大限の経済効果を取り逃したとの「後悔」を抱き、反対派は「裏切り」の思いが拭えない。元市職員の立候補表明は、市役所内部にも少なからず不満が広がっている証しと考えられる。

 一方、同日選の市議選は立候補予定者が伸び悩む。選挙戦となる見通しだが、競争率は低く、現時点で新人は3人程度にとどまる。「議員では何も変えられない」といった声もあり、政策提言・立案、行政監視の機関として、市議会に重い宿題が課せられている。

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