「地域で暮らし、安心してアートと向き合える場になれば」と話す伊藤愛さん=鹿児島県錦江町田代
元鹿児島県錦江町地域おこし協力隊員で、フルート奏者の伊藤愛さん(29)が、アーティストの居場所となる拠点をつくった。豊かな自然が広がる地域で芸術家らが暮らし、創作に取り組み、住民と交流できる場所にしようと古民家を改修した。
大阪出身の伊藤さんは高校卒業後、フランスで5年間修業し、東京でフリーランスとして活動。2021年に協力隊として移住し、町内外での演奏会や指導に加え、アーティストの生活支援事業を進めてきた。廃校やシェアハウスを活用して画家や造形作家、ダンサーら7人を受け入れた。
23年8月、一般社団法人「あわい」を設立し、クラウドファンディングに挑戦。163人の支援者から、目標の200万円を上回る253万5000円が集まった。24年3月に3年間の協力隊の任期を終えた後も町に残り、今年11月16日に拠点となる施設をプレオープンさせた。
施設は、周囲に棚田が広がる同町田代川原の古民家や倉庫を活用。和室と洋室を備えた居住空間と、倉庫を改修したアトリエがある。家賃は月3万円となる見込み。
アーティストに寄り添い、イベントの企画運営もする予定で、伊藤さんは「安心してアートと向き合い、アーティストとしてこの土地に受け入れられている、と安心できる場にしたい。どのような人が来て、どのような化学反応が起こるのか楽しみ」と話した。メールawai.kinko@gmail.com