戦後、子どもたちがドングリの実をまき、苗を育てたお金で買った「どんぐりピアノ」。70年前のピアノは今でも澄んだ音色が響く

2024/11/25 07:00
70年前から引き継がれるどんぐりピアノのコンサート=鹿児島県霧島市の三体小学校
70年前から引き継がれるどんぐりピアノのコンサート=鹿児島県霧島市の三体小学校
 鹿児島県霧島市牧園の三体小学校で、70年にわたり引き継がれる古いグランドピアノを使ったミニコンサートが開かれた。1954(昭和29)年、子どもたちがドングリの実をまいて苗を育てた収益で購入した「どんぐりピアノ」。児童や卒業生、地域住民ら約50人が集まり、その澄んだ優しい音色に耳を傾けた。

 どんぐりピアノは終戦直後の物のない時代、三体小や旧三体中学校の児童生徒や地区住民らが協力し、近くの山からドングリの実200キロを拾い集め、5万本のクヌギの苗木に育てた。それを植林して得た29万円で購入した。

 初めは三体中で使われたが、牧園中に統廃合された69年ごろ三体小に移された。ピアノを購入するまでのエピソードが忘れられていた時期もあったものの、年1回調律するなど、今でも大切に管理されている。

 コンサートは、どんぐりピアノの会会長で、ピアニストの入来慶子さん(35)とトロンボーン奏者の松尾光祐さん(34)が出演。クラシックやジブリメドレーなど計11曲を披露。最後は全児童5人と卒業生が加わり「どんぐりピアノの歌」を合唱して締めくくった。

 6年の神田柊人さんは「昔の人たちが大変な思いをして残してくれた三体小学校の宝物」と笑顔。入来さんは当時ドングリを拾い集めた中学生の孫に当たり「古いピアノとは思えないほど、澄んだ爽やかな音色が鳴る。これからもこのピアノを弾いていきたい」と話した。

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