「デジタル化で仕組みを変える」と話す鹿児島市の下鶴隆央市長=25日、市役所
24日投開票の鹿児島市長選は、現職の下鶴隆央氏(44)が一騎打ちを制して続投を決めた。物価高騰や人手不足、地方の衰退が叫ばれる中、県都の市政運営にどう取り組むか。当選から一夜明けた25日、決意を聞いた。(聞き手・伊東昌樹報道部長)
-選挙戦の感想は。
「1期4年間の審判を仰ぐ選挙。市政を前に進めるため多くの方に支持をいただき、ありがたかった。旧5町地域を含め市内全域を回って街頭に立ち、状況や課題を見ることもできた」
-投票率は27.21%と低かった。
「低投票率は懸念していた。自分への投票にとどまらず、鹿児島市の未来を決める大事な選挙だと重点的に訴えた」
-市民が困っていること、市長に求めることは何だと感じたか。
「高齢者が暮らしやすいまちづくりや交通支援など多岐に渡るが、元をたどれば人口減少に端を発している。デジタルを軸に社会の仕組みを変えないといけない」
-「選ばれるまち」を掲げた。具体策は。
「まずは若い世代、子育て世代に選ばれるまちをつくる。稼ぐ力の向上、子育て・教育の充実、ワクワクするエンターテインメントの3点セットが必要だ」
「ITと観光を基幹産業として育てるほか、中小企業の生産性をITの力で上げ、賃金を増やす。待機児童ゼロ継続やデジタル教材の活用で、居住地や家庭環境にかかわらず充実した学びを実現する。若者が鹿児島に残り、県外に出た人も戻る選択をしてもらえるよう、スポーツを中心にエンタメも充実させる」
-急激な高齢化への対応は。
「疾病、介護の予防のほか、認知症患者本人だけでなく、家族もしっかりと支える。どの産業もマンパワー不足。いかに少ない人数でサービスを提供していくかが問われている」
-サッカースタジアム整備はどう取り組むか。
「県と候補地を探し、リストアップしている段階。回遊性を確保すべく一歩一歩着実に進めている」
「民間によるエンタメ施設経営が成り立たない地方都市において、公の果たすべき役割は大きい。単なるサッカー場ではなく、日常からにぎわいを生み、維持費をしっかりと稼げる仕組みを考えたい」
-2期目で早期に実現したい政策は。
「まずは中学生までの子ども医療費無料化。窓口手続きのデジタル化も進め、『行かなくてもいい市役所』にしていく。1期目に引き続き、子育て支援やデジタル化に力を入れていきたい」