〈詳報〉小型固体燃料ロケット「イプシロンS」エンジン試験中に爆発 施設損傷、人的被害はなし 昨年7月の秋田試験に続き失敗 種子島宇宙センター

2024/11/27 06:00
燃焼試験中に爆発した「イプシロンS」の2段目エンジン=26日、南種子町の種子島宇宙センター(JAXA提供)
燃焼試験中に爆発した「イプシロンS」の2段目エンジン=26日、南種子町の種子島宇宙センター(JAXA提供)
 26日午前8時半ごろ、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで、小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンが燃焼試験中に爆発し、火災が起きた。実験施設も損傷した。同エンジンは昨年7月も、燃焼試験で爆発事故を起こした。イプシロンSは2024年度中の打ち上げが予定されていたが、今回の失敗により、開発遅れは避けられない見通しだ。

 試験は午前8時半に開始し、約2分間の燃焼を予定していた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、爆発は点火から約49秒後。約20秒後から燃焼圧力が予想より高くなったが、耐えられるはずの圧力内で爆発が発生したという。原因は調査中。

 爆発により、実験施設も「かなりの損傷を受けた」としている。人的被害はなかった。

 昨年7月の燃焼試験は秋田県の能代ロケット実験場であった。JAXAによると、点火装置の一部が溶けて飛散。その影響でエンジンを覆う容器の断熱材が損傷し、燃料に引火して爆発した。施設も大破した。今回の再試験では、点火装置を断熱加工するなどの対策を施し、使えなくなった同施設の代わりに種子島宇宙センターで実施した。

 イプシロンSは当初、ベトナムの衛星を載せて23年度に肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定だったが、24年度に延びていた。イプシロンロケット開発責任者の井元隆行プロジェクトマネージャは「前回の対策部分も含めて原因究明をする。日本の宇宙開発への影響をできる限り小さくするためにも早期の打ち上げを目指したい」と述べた。

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