爆発が起きた燃焼実験場=26日午後1時半ごろ、南種子町の種子島宇宙センター
小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンは26日の地上燃焼試験で再び爆発を起こし、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)の試験場が損傷した。原因究明の長期化が予想され、再々試験の場所の確保も難しく、内之浦宇宙空間観測所(肝付町)で予定されている本年度の打ち上げは事実上難しくなった。
爆発から約5時間後。試験場周辺は焦げた破片が散乱し、設備の損傷を確認する関係者の姿が見られた。隣接する海にも部品が飛散した可能性があるという。
「これから200項目のデータを詳細に評価する」「飛散したモーターを集めて確認しなければ」。同センターで会見した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の井元隆行プロジェクトマネージャは、改めて多くの課題を突き付けられ、厳しい表情を崩さなかった。
2023年7月、秋田県の実験場であった試験では爆発で施設が破壊され、再建は27年度の見通し。同実験場の別の施設は大規模な保安対策が必要とされ、種子島宇宙センターの復旧を待つのが現実的だ。ただ、井元マネージャは「復旧には数カ月かかる可能性がある」と話す。
燃焼試験は「必須」とするだけに、年度内のイプシロンS打ち上げは「厳しい」とみる。「もう3度目はない。徹底的に全ての対策を打つことになる」と奮い立たせた。
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26日に南種子町の種子島宇宙センターであったエンジンの燃焼試験で爆発が起きた小型固体燃料ロケット「イプシロンS」は、肝付町の内之浦宇宙空間観測所で本年度、初号機の打ち上げが予定されている。町関係者からは「残念だが、今回の失敗を成功につなげてほしい」と激励の声が上がった。
エンジンは、昨年7月の試験でも爆発事故を起こした。同町の永野和行町長(73)は「開発に関わる人たちが一番悔しいだろう」と思いやる。今回の試験の行方を気にしていたところ、ネットの速報で爆発を知ったという。「本年度の打ち上げへの影響は気になるが、この失敗を次への手がかりにして頑張ってほしい」と励ました。
同町観光協会の山下建一会長(57)も「結果は残念だが、応援の気持ちが強い」と力を込める。打ち上げは全国の宇宙ファンが楽しみにしているとして「ロケットの発射風景は美しく、迫力がある。宇宙産業に各国が力を入れて注目が集まる中で、内之浦から飛び立つのを楽しみにしている」と話した。