新総合体育館「県提示の313億円には収まらない」…労務、建設、金利と経費高騰、PFIにも削減効果なし 「規模縮小や、実態に基づく費用で事業費算定を」入札見送った事業者のホンネ

2024/12/13 11:00
鹿児島県が新総合体育館を計画するドルフィンポート跡地(中央)。現在は更地になっている=1月8日、本社チャーター機から
鹿児島県が新総合体育館を計画するドルフィンポート跡地(中央)。現在は更地になっている=1月8日、本社チャーター機から
 鹿児島県は12日の県議会文教観光委員会で、9月の新総合体育館事業入札を見送った事業者などへの聞き取り調査概要を公表した。労務費や建設費、金利の高騰が不調の要因で、今後も上昇が続く見込みだと説明。「できるだけ早く事業費を精査し議会に示す」とした。委員からは規模や機能の見直しを求める声が相次いだ。

 聞き取りは県内外の事業者でつくる3グループと建設関係団体の4者が対象で、10月末から続けている。

 事業者は「半導体工場やデータセンターの建設が全国的に増加し、特に設備工事関係の費用が想定を上回って高騰した」「県が提示した最大313億円の事業費に収まらない」と回答。建設関係団体も、建設コストの上昇が落ち着く見込みがないとした。

 事業費を削減する方策として、事業者はサブアリーナや武道場の観客席数の縮小、実際の使用量に基づいた光熱費への改定などを提案。県が新体育館事業で初導入する民間資金を活用した社会資本整備(PFI)手法にも「建設費高騰で削減効果が以前より見込めない」との意見があった。

 県は313億円と事業者の見積もりとの乖離(かいり)額については「事業者から入札の競争性を確保するため控えてほしいと要望があった」として示さなかった。

 委員からは「基本構想から見直さないと313億円に収まらない」「増額を認めるには納得できる説明が必要」「事業費は県税。借金を子どもや孫に残していくのか」などの指摘があった。

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