ステゴサウルスの背板は放熱機能だけじゃない…ボーンヒストロジーで解き明かす、恐竜の生態と進化の過程

2024/12/20 17:00
岡山理科大学の林昭次准教授。持っているのはクビナガリュウの背骨
岡山理科大学の林昭次准教授。持っているのはクビナガリュウの背骨
■サラリーマン化石ハンター・宇都宮聡さん

 私は現在、大阪で再発見した大型海生爬虫類・モササウルス類の化石の研究を、岡山理科大学の林昭次准教授(43)と共同で行っています。林さんは古生物学や進化生物学が専門で、ボーンヒストロジー(骨組織学)という手法で、恐竜の化石などを調べています。今回は林さんに、研究の内容や古生物学の楽しみ方などを聞きました。

 -ボーンヒストロジーとはどのようなものですか?

 「骨を切断し薄くスライスすることで、内部の組織を観察し、骨の機能や成長について研究する手法です。この手法を用いると、従来は推定が難しいとされてきた、絶滅動物の成長速度や代謝といった生理、運動様式、装飾物(トサカやとげなど)の機能といった生態を明らかにできます」

 -ボーンヒストロジーを用いて、どのような発見をしましたか?

 「例えばステゴサウルスの背中の板の血管構造が、放熱機能を持つことです。成体になると背板が巨大化することから、ディスプレイ(求愛や威嚇など)として使われていたことも分かりました。ほかに、ヤクシカなど大小の島々に生息するシカ類は、島が地殻変動などで大陸から分離した期間が長くなるほど、長寿化と成長の遅延化が起こることなども確認しました」

 -今後、どのような研究を進めたいですか?

 「大阪和泉層群のモササウルス類やモンゴル・ゴビ砂漠の恐竜類などの化石を調べ、生態や進化を明らかにしていきたいです」

 -鹿児島の読者にメッセージを。

 「鹿児島は、長島町・獅子島や薩摩川内市・甑島で恐竜化石がたくさん出ている、日本でも珍しい『恐竜王国』です。古生物学を通じて、地球や生命の歴史の素晴しさに興味を持ってもらえることを願っています。また、私が所属する岡山理科大学では来年度、『恐竜学科』が新設されます。恐竜や古生物の研究をさらに発展させる学科として、ご期待ください」

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