薩摩川内市を表敬訪問した九州電力の池辺和弘社長(奥左から2人目)=18日、同市役所
九州電力(福岡市)の池辺和弘社長は18日、政府の「エネルギー基本計画」の原案で、廃炉作業中の玄海原発1、2号機(佐賀県)の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)敷地内への建て替えが可能になったことに関し、「原子力の個別地点の建設・開発については、まだ先の議論」と述べた。今後のエネルギー政策で「原子力は絶対に必要」との認識を示した。訪問した同市役所で報道陣に答えた。
17日公表された原案は、原発の建て替えの要件を緩和。同じ電力会社であれば敷地外にある別の原発立地場所でも建設可能とする。
池辺社長は、原案が電力需要の増加を見込む点や、バランスのとれた電源構成を目指すとしたことを「非常に評価できる」とした。一方、パブリックコメントなどを経て成案となることも踏まえ、個別具体的には言及しなかった。
市役所には年末のあいさつで訪れた。面会した田中良二市長と下園政喜議長は、7月にも要望した原発の安全性向上など4項目に加え、来年2月の国の原子力総合防災訓練が能登半島地震を踏まえ実効性の高いものとなるよう求めた。
川内原発は1号機が今年7月、原則40年を超える延長運転に入った。2号機は来年11月に延長を迎える。
九州電力の池辺和弘社長と報道陣の主なやり取りは次の通り。
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エネルギー基本計画の原案が示された。玄海原発の建て替えを川内原発でするか関心が高まっている。
「電力需要が増えることを打ち出している点と、そのためにバランスの取れた電源が必要というのは非常に評価できる。原子力の個別地点の建設・開発は、まだ先の議論かと思う」
「電気がないと半導体工場を中国に造るなど、若い人が働く場がなくなる。バランスの取れた電源開発を進めなければならないと、より責任を感じている」
-3号機については。
「今のところ凍結という位置付け。社内で議論は進んでいない。ここで申し上げられることはない」
「原子力はこれから絶対に必要。敷地がどうこうではなく、開発・建設を進めていかないといけない」
-地元理解にどう取り組む。
「現地を見てもらうのが一番良いだろう。見学できない方には対面で、疑問を解消する活動を続けていきたい。自分も今年は川内大綱引の綱出しに参加した。足しげく伺い、コミュニケーションを図っていく」