新橋完成したけれど4年経過の今も通れず 民有地買収難航で市道改築工事こう着 市は強制収用裁決申請へ

2025/01/13 06:30
買収が難航している右岸側の土地。石や木が確認でき、奥には完成した橋が見える=いちき串木野市平江
買収が難航している右岸側の土地。石や木が確認でき、奥には完成した橋が見える=いちき串木野市平江
 鹿児島県いちき串木野市の中心市街地に近い五反田川に、市が架けた橋が完成から4年を経過しても開通していない。たもとの民有地の買収が難航し、道路とつなげられないためだ。地域住民には災害避難道の役割もある橋の早期開通を求める声が強く、市は強制収用の手続きを進めている。

 新設の橋は、国道3号の橋から下流約600メートルに位置する。市道改築工事の一環で造られ、山手の地域と中心市街地を結ぶ。全長59.6メートル、幅11.5メートル。津波や九州電力川内原発(薩摩川内市)事故時の災害避難道となる。

 市都市建設課によると、市は2014年、付随する道路予定地を含む地権者を対象とした説明会を開催。「計画に全員同意していた」と主張する。しかし、建設が始まった後も右岸側たもとの地権者と補償額の交渉がまとまらないまま、20年10月に完成した。

 現在、左岸側はすでに市道とつながっているが、橋の入り口を封鎖している状態。右岸側は買収の終わっていない土地を含め、橋から約200メートルの市道の建設が止まっている。

 市は24年5月、所有者の意思にかかわらず取得できる強制収用に向け、前提となる「事業認定」を県に申請。7月5日付で認定されたため、土地への立ち入り調査などを実施した。25年1月中に、強制収用の裁決などを県収用委員会へ申請する予定。県収用委は受理すれば、両者の意見陳述などを経て可否を判断する。

 鹿児島市に住む地権者の男性はこれまでの取材に、「住民と同じで早い開通を望んでいるが、補償の内容に納得できない部分がある」と説明してきた。市は「早期開通を求める住民のため、適切な手続きを進めていくと同時に任意での話し合いにも応じる」としている。

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