戦争で受けた痛み、悲しさ…椋文学に込められたメッセージとは…「椋鳩十と戦争」の著者・多胡吉郎さんが解説

2025/01/20 16:00
椋鳩十作品について語る多胡吉郎さん(右)=鹿児島市荒田1丁目のイイテラス
椋鳩十作品について語る多胡吉郎さん(右)=鹿児島市荒田1丁目のイイテラス
 鹿児島ゆかりの児童文学作家、椋鳩十(1905~87年)の生誕120年を記念したイベント「椋鳩十 生命の調べに」が13日、鹿児島市のイイテラスであった。ファンら80人が作品の朗読や講演を聴き、椋文学の魅力を味わった。

 「椋鳩十と戦争」(書肆侃侃房)の著者、多胡吉郎さん(68)が講演し、「多才な作家だが、骨格となっているのは戦争。戦争で受けた痛みや悲しさを動物物語に込め、一人一人の命がかけがえないということを訴えた」と指摘。太平洋戦争の直前に発表された「大造じいさんとガン」について、「今も小学校の教科書に載っているのは奇跡」「生誕120年が戦後80年であることの意味を考えてほしい」などと話した。

 講演に先立ち、椋鳩十文学記念館(姶良市加治木)職員の藤田雅子さん(55)が「マヤの一生」の原型の短編「熊野犬」を朗読した。愛犬が戦争の犠牲になる悲しい物語を、長女の佳奈恵さん(24)がピアノ伴奏で優しく包んで作品の味わいを深めた。

 日置市伊集院町妙円寺2丁目の元教員神野順子さん(64)は「子どもたちに『マヤの一生』を読み聞かせてきた。椋先生の晩年の話も聞けて胸がいっぱいになった。今の子どもたちにもぜひ読み聞かせてほしい」と話した。

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