先月中旬から掲示した恵方巻きの予約注文の案内=17日、鹿児島市の城山ストアーアミュプラザ店
2月2日の節分を前に、縁起の良いとされる方角を向いて食べる「恵方巻き」商戦が本格化している。小売業界では、前年実績以上の販売を目指す傾向にあったが、その日限りの商品ということもあり、近年は大量の売れ残りが社会問題に。各スーパーは、製造計画の見直しや予約販売のPRに力を入れる。
太巻きずしを食べて福を呼ぶ風習は関西の発祥。海鮮や和牛を使う豪華な太巻きやデザートの恵方巻きなどバラエティーに富み、全国で定着する。一方で、交流サイト(SNS)の投稿をきっかけに大量廃棄が問題視され、国は需要に見合った販売を呼びかける。
県内に4店舗を展開するなりざわ(鹿児島市)は、総菜部門の従業員が毎年、数千本を手巻きしている。成沢洋社長(61)は「品切れを良しとしない風潮があったが、最近は売れ残りを出さないように作っている」と明かす。
当日販売分は、数年前まで前年実績より多めに仕込んでいた。現在は前年比8割程度を当日早朝から作り、残り2割は売れ行きを見て夕方に追加製造する。予約販売にも力を入れ、予約者にはポイントサービスで優位性を持たせるよう工夫。31日まで受け付ける。
「新型コロナウイルス下で、すぐ受け取れる予約注文が定着するきっかけとなった」と話すのは、27日まで予約を受け付ける城山ストアーアミュプラザ店(同市)の中園隆店長(53)。注文は年々増え、昨年は全体の約3割に上った。
予約分は1本450円と当日価格より14円安く設定、先月中旬には案内を掲示し周知に努める。「予約時に支払いも済むので、店と消費者双方にとって便利。食品ロス削減にもつながるため、積極的に勧めたい」
農林水産省の2019年の調査によると、製造計画の見直しやサイズの工夫により、約9割の小売業者で廃棄率が改善した。生協コープかごしま(同市)の溝口琢組織運営本部長スタッフ(57)は「予約がある程度あれば販売数の見通しが立ち、製造計画を修正し過剰に作らず済む」と利点を語る。
現時点の注文数は、前年比で約1割増。食べ残し防止も見据え、ハーフサイズも販売する。溝口本部長は「予約の活用、適切な量の購入で、無駄なくおいしく味わって」と呼びかけた。
今年は立春が2月3日のため、その前日に当たる節分は4年ぶりに2日となる。恵方は西南西。