現行は最大1ミリ以上→30センチ以上も視野に…大量の広域降灰伴う大規模噴火備え新予測情報検討 インフラや生活への影響重視、数年内の運用目指す 気象庁

2025/01/26 07:00
 桜島などで想定される大規模噴火時の広域降灰に備え、気象庁は新たな降灰予測情報を検討している。有識者検討会が降灰量に応じた呼びかけ内容や警報の導入、見通し情報のあり方などを議論し、年度内に報告書案をまとめる予定だ。数年内の運用開始を目指す。

 気象庁は2008年に降灰予報を開始。広範囲の降灰が予想される噴火が発生した際、6時間先までの降灰範囲を示した。15年3月からは、降灰量の分布や小さな噴石の落下範囲を新たに予測し、桜島などの活発な火山では噴火を仮定した事前の情報も出している。

 ただ、現在の降灰予報は降灰量を「1ミリ以上(多量)」「0.1ミリ以上1ミリ未満(やや多量)」「0.1ミリ未満(少量)」に区分して防災対応などを示しており、大規模噴火を想定した情報体系にはなっていない。内閣府の「首都圏における広域降灰対策検討会」がガイドラインを策定するのに合わせ、情報発信のあり方を検討することにした。

 気象庁は14日、有識者検討会の初会合を開いた。(1)降灰量に応じた呼びかけ内容と警報化の要否(2)大規模噴火発生を知らせる情報(3)降灰の見通しの情報-を論点に議論。委員からは「シンプルで分かりやすい情報」を求める意見が出た。

 新たな降灰予測情報は全国の火山が対象で、降灰量の区分は内閣府の検討会が示す「30センチ以上」「3センチ以上」「微量以上」を参考にする。現在の降灰予報を継続しつつ新たな情報を運用するか、情報を一本化するかは今後検討する。

 座長の藤井敏嗣・東京大学名誉教授は「火山灰は直接命に関わるものではないが、車や航空機、鉄道を使う現代社会では生活の質が極めて悪くなる。的確な情報発信が重要だ」と話す。

 気象庁によると、現在の科学技術では大規模噴火の開始前や直後に噴火規模や様式、推移を正確に予測するのは難しい。大規模噴火時は仮定の噴煙高度や噴火継続時間で予測計算することになり、単発的な噴火で計算する現在の降灰予報に比べて精度が落ちる。

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