鹿児島市は、桜島の大規模噴火に備えた市街地側の対策として「大量軽石火山灰対応計画」を策定している。前兆現象が捉えられるとの前提で噴火前の広域避難を想定するが、担当者は「対象地域や情報発令の判断に課題がある」と説明する。
計画では、桜島の噴火警戒レベル4で市街地側に注意喚起を実施。レベル5に引き上げられ、風向きなどで大量の軽石火山灰が予想された場合、気象台や学識者の助言も参考に避難対象地域を段階的に決め、避難情報を発令する流れだ。
桜島の噴火警報で警戒が必要な範囲として示されるのは火口から最大7キロ。大量降灰の影響を受ける市街地側は警戒範囲には含まれないため、避難対象地域の絞り込みや避難情報発令のタイミングは市独自で判断する必要がある。
気象庁の有識者検討会で委員を務める鹿児島市の脇田浩任・危機管理課長は「影響範囲が絞り込めないまま避難情報を発令した場合、対象が数十万人規模になり交通混乱が起こる可能性もある。避難の判断の目安になるような降灰予報を求めたい」と話す。
大正噴火級の噴出量を想定したシミュレーションでは、偏西風の影響が弱まる夏場に市街地で最大1メートル程度の降灰が予想される。