観音像にお参りし、お茶や食事を楽しむ女性ら=指宿市十二町
鹿児島県指宿市十二町の丈六生活改善センターで18日、100年以上続く伝統の「丈六地区観音講」があった。地域の女性らが続々と訪れ、集落ごとに引き継がれてきた4体の観音像に家内安全や子孫繁栄を祈願。手作りの食事やお茶を飲みながら歓談した。
観音像は丈六地区内の山之口、大久保、木原、下之園の4集落で1体ずつ受け継いできた。毎年1月18日に開く観音講で一堂に会し、終了後に孫や子どもの誕生を願う家庭が自宅に持ち帰る。像を1年間預かり、花や水を供えて世話をすると御利益があるとされる。
以前は地区の婦人部が主催していたが、高齢化も進む中で解散。現在は地元の女性5、6人がボランティアで早朝からもてなしの食事などを準備する。正確な発祥は不明だが、運営にあたる木原光子さん(77)は「亡くなった義母が生まれた頃からあったと聞く。少なくとも明治時代から、100年以上続いているはず」と話す。
今年は午前11時からの3時間で、約20人が祈願に訪れた。近くの木原麻希さん(39)は、昨年10月に生まれた長女美晴ちゃんと参加。前回、観音像を持ち帰った直後に妊娠が分かったといい、「御利益があったのかも。今では珍しい伝統なので、大事にしていきたい」と語る。準備に携わった女性たちも「みんなの喜ぶ顔がやりがい。元気な限りは続けたい」と口をそろえた。