〈詳報〉1便あたり旅客4.9人、車両5.2台…深夜帯の桜島フェリー、年7900万円の赤字試算に市長「深夜運航廃止、やむを得ない判断」

2025/01/29 21:30
10月から深夜帯の運航を停止する桜島フェリー=29日午後2時38分、、鹿児島市の鹿児島港桜島フェリーターミナル
10月から深夜帯の運航を停止する桜島フェリー=29日午後2時38分、、鹿児島市の鹿児島港桜島フェリーターミナル
 鹿児島市は29日、桜島フェリーの深夜運航を10月1日から廃止すると発表した。桜島、鹿児島の両港を午前0時~3時半に出港する計8便が対象で、2023年度までの10年で利用が半減し経営を圧迫していた。ただし、救急搬送など緊急事態に24時間対応できるよう桜島港側に船1隻と船員や作業員を待機させる。

 深夜運航を巡っては、船舶事業経営審議会が24年12月、住民や緊急車両への対応に配慮した上で、早期に見直すよう提言した。23年度の決算を基にした市船舶局の試算では、深夜運航は約7900万円の赤字。深夜帯廃止に伴い燃料代や作業員らの委託料で、年約3500万円の削減を見込む。

 同局は昨年の5、7、11月に各1週間ずつ利用者にアンケート。深夜帯の計8便の1便当たり平均利用数は旅客4.9人、車両5.2台だった。11月の調査では、深夜帯に週3日以上乗船した車両は両港合計で、コンビニへ商品や雑誌を運ぶ運送業など15社、一般車両は通勤で使用する7台だった。

 桜島フェリーは桜島、大隅地域の人口減や東九州自動車道延伸の影響で15年度から赤字が続く。運賃を値上げしても新型コロナ禍で収益は伸びず、船を5隻から4隻に減らし、昨年7月には運賃を再度値上げしたばかりだった。

 同局によると、今年10月以降、始発便と最終便はそれぞれ桜島港が午前4時、午後11時、鹿児島港が午前4時半、午後11時半になる。下鶴隆央市長は1月29日の定例会見で「フェリーは桜島の住民にとって重要な生活路線。将来にわたって安定的、継続的に運営するため、やむを得ない判断だ」と理解を求めた。市は2月13日、町内会長やコミュニティ協議会長への説明会を開く。

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