滑走路、宿舎、火薬庫も…鹿児島で防衛施設工事が空前のラッシュ 最大は馬毛島の3000億円

2023/04/16 08:30
1月に自衛隊基地の本体工事が始まった西之表市馬毛島。奥は種子島=1月12日(本社チャーター機から)
1月に自衛隊基地の本体工事が始まった西之表市馬毛島。奥は種子島=1月12日(本社チャーター機から)
 過去最大の約6兆8000億円を計上した2023年度防衛費を受け、鹿児島県内の防衛関連施設の工事が続々と始まる。西之表市馬毛島の自衛隊基地整備では基地本体のほか、3000室以上の作業員向け仮設宿舎、中種子町の隊員宿舎などが具体化する。瀬戸内町や鹿屋市、霧島市、薩摩川内市下甑島でも1件当たり数億~30億円規模の工事が相次ぐ見通しだ。

■馬毛島

 23年度の馬毛島関連予算は契約ベースで3030億円を計上。九州防衛局熊本防衛支局の発注予定(4月3日時点)では、仮設宿舎の設置・運営に加え、重機や人員の陸上・海上輸送を300億円以上で一括契約する。契約期間は6月~27年3月まで。

 工事の作業員は1年後に最も多くなり、3000~4000人が携わる。環境影響評価(アセスメント)で示した計画によると、1年目の飛行場に関する土木工事12工種のうち、滑走路地区だけで50トンダンプなど最大約610台が稼働。仮設関連工事でも油圧ショベルやブルドーザーなど約380台が使われる。

 基地本体では、既に着手している滑走路や管制塔の整備に加え、3階建て外来隊舎(100億円以上)、格納庫(60億円以上)、地中式燃料貯蔵施設(30億円以上)などに着手する。

 中種子町では旧種子島空港(同町野間)周辺に5階建て宿舎3棟を整備する。工期は6月から1年間で、規模は10億円以上。

■火薬庫など

 陸上自衛隊奄美駐屯地(奄美市)と瀬戸内分屯地(瀬戸内町)の施設強化は総額約109億円で、このうち瀬戸内の大型火薬庫3棟に57億円。地中式(延長約250メートル、本体内の面積約120平方メートル)の2棟は7月から着手し、3年近くかけて整備する予定だ。

 空自下甑島分屯基地の平屋建て火薬庫は、周辺建物との間に必要な「保安距離」が不足していたため改修する。海自鹿屋航空基地、陸自川内駐屯地の各宿舎などの改修と合わせ総額3億円以上。これとは別に、鹿屋基地では老朽化した火薬庫の改修も進めている。

 海自鹿児島音響測定所(霧島市)では桟橋の撤去、新設に向けた土木工事を始める。工期は8月から約3年で規模は10億円以上。

 空自新田原基地(宮崎県)は訓練施設の新設などが相次ぐ。24年度に国内で初めて最新鋭ステルス戦闘機F35Bを配備するためだ。同機は西之表市馬毛島の自衛隊基地で訓練する予定となっている。

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