急須でお茶→面倒。ならば「湯を注ぐ」だけならどう? 緑茶本来の風味を再現したフリーズドライ技術で特許取得

2025/01/23 06:30
大隅加工技術研究センターの特許技術で製造したフリーズドライ緑茶の商品=22日、鹿屋市の同センター
大隅加工技術研究センターの特許技術で製造したフリーズドライ緑茶の商品=22日、鹿屋市の同センター
 お湯を注ぐだけで、まるで急須で丁寧に入れたお茶-。鹿児島県大隅加工技術研究センター(鹿屋市)は、本来の色合いや風味を再現したフリーズドライ(真空凍結乾燥)緑茶の製造技術を開発し、特許を取得した。茶殻が出ず、旅行や非常時などさまざまな場面で手軽に本格的なお茶を飲める。技術普及による緑茶の消費拡大が期待される。

 鹿児島は全国2位の茶産地。リーフ茶は急須で入れる手間が敬遠され、需要が低迷している。新技術は茶葉と水を混ぜた液を冷凍・解凍し、茶殻を取り除いた浸出液を濃縮して凍結乾燥させる。2023年5月末に特許を出願し今月15日に登録された。

 既存の技術はお湯で緑茶を浸出したり、成型しやすいようにデキストリン(増量剤)を加えたりするため、風味や色合いが損なわれる。冷凍・解凍し濃縮することで、お湯でなくてもうま味や渋味の成分が浸出され、添加物なしで硬いキューブ状にできた。だまになりにくく、緑色が鮮やかで変色しにくいのも特長だ。

 技術を活用し、県内数社が試作を進めている。鹿児島製茶(鹿児島市)は「知覧茶CUBE」(10粒756円)として商品化し、1年ほど前から数量限定で販売。吉留伸一営業部長(53)は「急須で入れるのと遜色ない。添加物不使用で茶殻などのごみも出ないので、自家用に利用する方も増えている」と手応えを語る。2000袋ほどが約1カ月で完売。今は売り切れで、2月下旬の再販を予定する。

 技術開発を担当した同センターの三浦伸之研究専門員(54)は「クルーズ客の土産や輸出にもいいのでは。製造能力やコスト低減は課題だが、緑茶需要の拡大につながってほしい」と話した。

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