中小企業の未来を考える 引継ぎカフェトーク

 経営者の皆さんが大切に育ててきた会社は、社員だけでなく、地域の皆さんにとっても大きな存在で、会社の存続は地域の未来にも影響を及ぼします。会社の引継ぎを経験した経営者や引継ぎをサポートする専門家のお話を聞いてみませんか?

開催日時

開催日時 市町村 場所
11月5日(水) 鹿児島市 markMEIZAN
11月6日(木) 霧島市 霧島商工会議所 オンライン有
11月7日(金) 屋久島町 屋久島町役場
11月10日(月) 鹿屋市 リナシティかのや
11月11日(火) 薩摩川内市 SSプラザせんだい オンライン有
11月12日(水) 南さつま市 きやったもんせ南さつま
11月13日(木) 奄美市 アマホームPLAZA
時間はいずれも13:30~15:30

プログラム

13:00 受付開始
13:30 第三者承継経験者による体験談
14:00 M&A専門家によるポイント解説
14:45 経験者と専門家によるグループトーク
15:30 終了

お問い合わせ

南日本新聞社 地域共創室
TEL 099-813-5022(平日10時~17時)
FAX :099-813-5088
Mail j-shoukei@373news.com

 今、企業や個人事業主が培ってきたさまざまな財産 (人・資産・知的財産)を後継者に引き継ぐ「事業承継」 が注目を集めています。経営者の子や親族が継ぐ「親族内」や社内の「役員・従業員」のほか、近年はM&A(企業の合併・買収)といった「第三者」によるケースも増えています。鹿児島県内の現状や第三者承継の事例報告、専門家のアドバイスや支援メニューなど、事業承継を円滑に行うポイントなどを紹介します。

違う企業知り経営的学び
白男川薬局 代表取締役 白男川 賢治氏

 調剤薬局の世界は今、医療ニーズの変質や薬剤の供給不安、人手不足といった厳しい環境に直面しています。そんな中、私たちの会社はM&Aというご縁を通じて、地域に根ざした在宅医療薬局としての役割をさらに高めていくことを目指しています。
 こうした挑戦を続けて新しいエリアへ一歩ずつ進出することで、「鹿児島の医療インフラの一端を担う」という目標に近づけると考えます。
 複数の店舗が互いに連携できる体制が整えば、薬局にとって生命線ともいえる在庫調整力や医療連携の質も一層高められます。
 昨年8月以降、私たちは薬局4社を含む6社にグループへ加わってもらいました。もちろん、 企業文化の違いや運営方針のすり合わせなど、平たんな道ばかりではありませんでした。
 それでも、この経験は私たちにとってかけがえのない財産となりました。新たな仲間として優秀な人材と出会えましたし、何より異なる会社の歴史や考え方に触れることで、多くの経営的な気づきと学びを得られました。

愛着ある会社を社員で存続
南日本引越センター 代表取締役 古木 清貴氏

 岡山の職業能力開発大学校に在籍していた時代、休みなどにアルバイトでお世話になっていたのが、鹿児島市の自宅に近かった当社です。帰郷後、別の会社に就職したのですが、 営業で伺った縁で転職しました。
 入社して4年ほど法人の物流を担当させてもらっていた頃、当時の社長がM&Aで会社を売却しようとしていることを突然知りました。売り上げは年々減少し、社長は体調不良もあって経営意欲を失っていました。
 でも、私はこの会社を何とか存続させ、ふらふらと生きていた時代にバイトを通して自分を育ててくれた先輩たちとずっと仕事をしたかった。EBO(従業員による自社株買収)に挑むことになります。
 それは大変でしたよ。私を含めて法務や財務に詳しい人間はいない。寝る間もありません。ただ、創業者の身内にあたる株主さんたちが、創立から50年以上経つ会社を続けることに協力してくださいました。
 それから12年。MBO(経営陣による自社株買収)を経て今の立場に就き、事業を中古品の買い取りと再活用、空き家の整理・活用支援などに広げています。コンプライアンスの徹底と賃上げも実現させました。

教えて第三社承継「M&Aは小規模事業者の味方」
鹿児島県事業承継・引継ぎ支援センター エリアコーディネーター 秋窪 知博氏

——M&A(第三者承継)というと大企業のイメージですが
「それは誤解だと思います。当センターが扱う案件の多くは中小企業・小規模事業者。ラーメン店、 自動車整備工場、建設会社、調剤薬局など身近な事業の承継が中心です。昨年度は21件の第三者承継が成立しました。」

―どんな企業が買い手になるのですか
「建設業が人手不足で資格者ごと会社を買いたい、運送業の拠点拡大、現事業の将来性に不安があり他業種を買いたいなど、ニーズは様々。県内には約200社の譲渡希望先があり、買い手企業も増えています。」

一情報が漏れる心配はありませんか
「ノンネーム方式で完全匿名です。まず企業名を伏せた情報を買い手に提示。興味を持った企業から秘密保持誓約書をもらって初めて詳細を開示します。何度かトップ面談を重ね、お互いの条件の合意が得られたら契約に進みます。」

一売却価格はどう決まりますか
「相談者(讓受希望先)が譲渡希望先の財務状況等を参考にして、顧問税理士、支援専門家等との協議により価格提示し、譲渡先の希望価格との交渉で決まります。」

一創業希望者にもメリットがあると聞きました
「ゼロから始めるよりかなり有利と考えます。設備も顧客もブランドもすでにある。県内の有名飲食店を引き継ぎたいという案件もあります。創業塾(商工団体等が実施する創業塾等)を受講して当センターの後継者人材バンクに登録すれば、マッチングの機会が広がります。」

―なぜ第三者承継を勧めるのですか
「昨年の県内休廃業・解散は555件。廃業すれば雇用も経済価値も失われ、地域が疲弊します。『親族に後継者がいない』『従業員にも引継ぎ手がいない』という経営者が第三者に譲渡することで、技術やノウハウ、雇用、そして永年の取引先・顧客といった大切な経営資源を守れます。」

一相談したい経営者へ
「相談は無料、秘密厳守です。『後継者がいない』 と諦める前に早めの相談を。12名の専門スタッフが全力でサポートします。」

国や県の支援策を上手に活用!

鹿児島県商工労働水産部 中小企業支援課

鹿児島県内の企業の99.9%を占める中小企業は、雇用や技術の担い手として地域経済を支える重要な存在です。現在、中小企業が後継者を確保できず事業承継が行われない場合、企業の貴重な雇用や技術が失われることが懸念されています。事業承継は、経営権のほか、株式や事業用資産、経営理念などの経営資源を後継者に承継することが必要であり、 早い段階からの取組が重要です。
国や県では、セミナーや補助金などの各種支援施策を設け、事業承継に取り組む中小企業を支援しております。
事業承継を円滑に進めていくために、ぜひ各種支援策の活用をご検討ください。

令和6年度 中小企業事業承継加速化事業セミナー動画

講演① 税理士法人MSパートナーズ代表社員 牧 真之介 氏
「税理士を上手に活用、頼れる相談相手に」

講演② 株式会社 M&A Biz代表 辻󠄀松 律男 氏
「第三者承継(M&A)をもっと身近に、わかりやすく」

講演③ ゲストスピーカー各氏
「私たちが教えます!事業承継のエトセトラ」

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