株式会社ラクスが提供するメールマーケティングサービス「配配メール」。導入社数の増加に伴い、サポート窓口には日々多くのお問い合わせが寄せられていました。
「もっとお客様の成功に貢献したいのに、定型的な問い合わせ対応に追われてしまう」
そんな課題をAIの力で解決しようと、一人の社員が立ち上がりました。社内用のAIツール開発から、お客様にご利用いただける機能リリースに至るまでの道のりをご紹介します。
株式会社ラクスのメールマーケティングサービス「配配メール」は、導入後の設定や操作方法のご案内にとどまらず、お客様がメールマーケティングで成果を出せるよう運用に寄り添ったサポートを大切にしています。
そういった伴走支援を評価する声も多くいただき、ありがたいことに「配配メール」の導入社数は10,000社を突破。
しかし、成長とともにサポート窓口に寄せられるお問い合わせの数も増加していきました。その多くが設定や使い方に関する内容だったといいます。
「一件一件のお問い合わせに、丁寧に向き合いたい」
チーム全員がそう願う一方で、設定や使い方に関する受動的な問い合わせ対応に多くの時間を費やすと、より運用面に踏み込んだご提案など本来注力したい活用支援の時間が圧迫されてしまうといったジレンマに陥っていました。
この状況を変えようと立ち上がったのが、当時カスタマーサクセス担当だった河辺さんです。
きっかけは、世間を大きく賑わせていた「生成AI」。ChatGPTの登場後、比較的早い段階から日常的に利用していた河辺さんは「AIで問い合わせ対応を自動化できるかもしれない」と考えました。
社内には配配メールの機能や使い方に関する膨大なナレッジが蓄積されています。それを活かし、AIが問い合わせへの適切な回答を生成する仕組みが実現できると考えたのです。
プログラミングの経験はなく、使おうと考えたPythonの知識はほぼゼロ。それでもChatGPTと壁打ちしながら進めることで、1か月もかからずに最初のプロトタイプ(試作品)が完成しました。
初めのうちは、間違った回答をAIが生成してしまう「ハルシネーション」に悩まされることもありました。チームのメンバーからは「自分でイチから対応したほうが楽かもしれない」といった正直なフィードバックも。
そこからChatGPTとの壁打ちに加え、社内のAIに詳しい部署にも相談しながら改善することで、徐々に精度を向上させていきました。
精度が高まると、お問い合わせ内容への対応方法を調べたりお客様への回答文を作成する時間が大幅に減少。結果として、お問い合わせ1件あたりの対応時間が50%ほど削減され、チームのメンバーからは「手間が減って助かった」という声が上がるようになりました。
この取り組みが評価されたこともあり、河辺さんは製品企画や戦略を担当する部署に異動。
開発部門、クリエイティブ部門、法務担当等様々な部署の協力を得て、配配メールのお客様にご利用いただけるAIサポート機能「AIヘルプ」をリリースしました。
配配メールのサポートサイトには検索機能があり、これまでもキーワード検索でマニュアルをご確認いただくことは可能でした。しかし、「質問したい内容をキーワードで表すのが難しい」「機能の名称が分からず、何と検索すればよいのか分からない」といったケースもあります。
また、サポート窓口の電話がつながる時間は平日の日中のみ。営業時間外でもメールでお問い合わせいただくことはできますが、返信は翌営業日以降となるため、それまでお客様の作業が止まってしまうことになります。
「AIヘルプ」なら、配配メールの管理画面からいつでもアクセスでき、その場でスピーディーに疑問を解消することが可能です。あいまいな表現にも対応しているので、まるで人と会話するように自然な文章で質問することができます。
この「AIヘルプ」をリリースして以降、サポート窓口への問い合わせ件数が約20%減少する効果が見られています。
「サポート窓口に電話をかける」「メールに状況を詳しく記載してやり取りする」といったお問い合わせには、少なからず手間と時間がかかるもの。お客様の手間を削減できたことは、何より嬉しい成果です。
一人の社員の「もっとお客様に寄り添いたい」という想いから始まった今回の取り組み。チームが本来目指していた理想のカスタマーサクセスを実現するための力となり、さらにはお客様へ価値を届ける大きな波となりました。
これからも「配配メール」は、サービスを通してお客様が成果を出していただけるよう、挑戦を続けてまいります。
▼「配配メール」公式サイト