
テレビでも話題になった「そのまま食べるかつおスライス」
1961年、鹿児島市でかつお節や海産物の小売店として開業した丸俊。消費者のニーズにあった商品作りができればと、かつお節生産量日本一の枕崎市に工場を設けた。カツオの買い付けからかつお節の製造、かつお珍味の開発・加工に販売まで一貫して手掛け、今年(2021年)で創業60年になる。

加工品の原料になる、味付きのなまり節
「かつお節や加工品には、脂の少ない新鮮なカツオが最も適している」と枕崎工場長を務める取締役の岡村宗孝さん。職歴20年の目利きを買い付けに生かす。2020年度は製造工程に温度監視システムを取り入れるなど、最新技術の導入にも積極的だ。

左から岡村取締役、横山社長、品質管理担当の木場千穂さん
3代目の横山恵美社長は、父で創業者の相星清俊会長の下、幼い頃から自然とかつお節に親しんできた。「枕崎カツオマイスター」資格をスタッフと取得し、新商品開発に知恵を絞る。「開発には1年以上かかることも。おいしく食べていただくための味の工夫や賞味期限を決めるのが難しい」
主力商品の「そのまま食べるかつおスライス」は、手軽においしく食べられる水産加工品として、2014年に水産庁の「ファスト・フィッシュ」に選定された。

化学調味料・保存料不使用の「そのまま食べるかつおスライス」
「やわらかいなまり節を原料に味付けし、食べやすいように厚めにスライスしている」。
削りたてを口にすると、しっとりと優しい舌触り。いぶされたカツオの香ばしさが口いっぱいに広がった。「加工品をきっかけに、若い人たちにも魚に親しんでもらいたい」と横山社長のカツオへの愛情があふれる。