
笹野製茶「国産紅茶」
10年ほど前からべにふうきの若芽を摘んだ「ファーストフラッシュ」と、夏摘みの「セカンドフラッシュ」の2種類の紅茶を生産。より良い紅茶を求め、商品化まで3年を費やした。

発酵をさせた紅茶を確認する。丁寧に発酵させることで紅茶の風味が決まる
和紅茶づくりはとにかく手間がかかる。摘み取りは葉が乾燥した状態を選ばなくてはならない。摘み取った茶葉は、萎(しお)れさせ、香りを引き出す工程・萎凋(いちょう)に一晩。その後、圧力をかけて、もみつぶす。
もんだ茶葉は1時間ほどスチームを送りながら発酵させる。発酵を終えると、乾燥機に入れる。乾燥後は3カ月ほど寝かせる。今年のファーストフラッシュは秋ごろ出荷する。「人の目が欠かせない。ほとんど手作業」と手塩にかけた至高の一杯だ。

左からセカンドフラッシュ、ファーストフラッシュ、ファーストフラッシュプレミアム
茶葉で水色(すいしょく)、味、香りが異なる(上の写真の左からセカンドフラッシュ、ファーストフラッシュ、ファーストフラッシュプレミアム)。ファーストフラッシュはストレート向きなのに対し、セカンドフラッシュは茶葉がしっかりしているため、ミルクティーでも楽しめるとのこと。

紅茶を愛する人たちは、じっと見入ってしまうという茶葉の対流「ジャンピング」
そんな笹野製茶が2019年、お茶の楽しみ方を伝えようと製茶工場横にオープンした。笹野さんは「自分のためにお茶を入れて、一息つく時間を」と笑みを浮かべる。

モダンな落ち着いた雰囲気の「茶寮ささの」
店舗は、鹿児島市出身のデザイナー・砂田光紀氏が手がけたモダンな雰囲気。梅雨まっただ中の5月下旬に訪ねたが、雨音すら癒やしのBGMに感じる。

店内

自家製の「お茶箱」
紅茶のほか、緑茶や桑茶も味わえる。「お茶に合うものを」と考え抜かれた自家製の「お茶箱」(煎茶の場合1,100円)には、緑茶を使ったティラミスと、もなか、地元産のブドウを使った干しぶどうが詰められている。

店内では笹野製茶の製品も購入できる
おいしく入れるためのアドバイスを、お茶を知り尽くしたプロから教えてもらえるのもだいご味だ。