
2014年以降、JR鹿児島中央駅売店で売り上げ1位を続ける「桜島灰干し弁当」
メインは、桜島の火山灰に食材を挟む「灰干し」加工を施したブリ。火山灰に挟むことで臭みが取れ、焼いた後、冷めてもおいしく食べられるとあって、駅弁のおかずにぴったりだ。

桜島の灰に挟んで魚の臭みを取る。うま味もぎゅっと凝縮
長年、京都の日本料理店などで腕をふるい、鹿児島に帰郷後は、地元食材を使用した町おこし事業に取り組んできた。灰干しへの歩みは、ある漁師の言葉から始まった。
「難儀しても銭にならん仕事を、息子に継がせられん」。鹿児島はおいしい魚がたくさん捕れる。しかし、名が知られていない魚は安値でしか売れず、箱や氷代を考えて半分は捨てるというのだ。「第1次産業の後継者不足の原因はここにある」と考えた梛木さん。「ならば高値で、安定的に魚を買うための事業をおこそう」と、探し当てたのが灰干し製法だった。

桜島灰干し弁当
試行錯誤を重ね、販売にこぎ着けた桜島灰干し弁当は、一躍人気の商品に。今では、姶良市の子どもたちに学校給食で味わってもらうなど、食育にも力を注ぐ。
「人間は食べるものでできている。健康で長生きするようにと受け継いできた食文化を、これからも伝えたい」