
2024年2月に完成した薩摩川内市産ブドウ100%の「朝陽ワイン」
2018年に閉校した朝陽小学校跡地に、2023年6月薩摩川内市初のワイン醸造所「朝陽ワイナリー」が誕生した。教室を改装した醸造室に入ると、ワインの爽やかな香りが広がる。

元々教室だった醸造室。黒板などがそのまま残る
給食受託などの「サードフォース」が就労継続支援A型事業所「サポートベースアサヒ」と連携して手がけ、ブドウの栽培からワインの醸造、出荷まで利用者らが担う。「障がいのある人々が活躍できる事業を」と他県の農福連携をするワイナリーを参考に、薩摩川内市の特産品であるブドウを活用できる事業として始めた。

発酵醸造タンクの上からワインをかき混ぜる。白ワインにキンカンをつけ込んだキンカンワインを試作中だ
「ブドウ栽培は初めての挑戦。水や肥料の与え方もまだまだ手探り」と醸造部の今村勝彦さん。農地は荒れた竹やぶを利用者と職員で一から開墾した。栽培法は、ブドウ農家の組合に加入して生産者を訪ねたり、市職員に教わったりと勉強を重ねた。

農園で栽培されるブドウ
開所時は地元産ブドウの生産量が不十分で、海外産を使い製造を開始。その後、収穫量が増え、2024年2月には薩摩川内市産ブドウ100%の「朝陽ワイン」を完成させた。香り高く、キレのある酸味が特長だ。そのほか海外産と薩摩川内市産のワインをブレンドした「ブレンド」、海外産ブドウを使う「3333」も製造する。

製造する3種のワインは、ワイナリー内で購入できる。写真は海外産と薩摩川内市産のワインをブレンドした「ブレンド赤・白」
閉校した校区が活気を取り戻し、地域住民から喜びの声が届く。「朝陽小出身の人が訪れることも。今後はイベント誘致など、“学校”を生かして地域の活性化にもつなげたい」と管理者・川﨑康弘さん。ワインは、地域をつなぐ大きな力となりそうだ。
製造するワインは、ワイナリー内でも購入でき、道の駅樋脇 遊湯館でも販売中。

朝陽ワイナリー外観。赤いポストなども閉校当時のままだ