草刈り機の使用から30日たち、再び成長したメリケントキンソウ。トゲのある種ができている=志布志市有明
とげのある種子をつける外来生物の「メリケントキンソウ」が繁殖域を広げている。5月、南日本新聞の「こちら373」に寄せられた情報を基に霧島市の現状を報じると、「うちの庭にも」「抜こうとしたらけがをした」「駆除方法を詳しく知りたい」といった声が県内各地から相次いで寄せられた。専門家は、適切な駆除方法で臨めば「撲滅は可能」とする。
助言を仰ごうと、志布志市で長年、駆除に取り組む環境省環境カウンセラーの窪健一さん(72)を訪ねた。
案内されたのは有明の蓬(よもぎ)の郷(さと)親水公園。5月に草刈り機でメリケントキンソウが刈られているのを見たという。だが、茎の切断跡が所々に残り、種子が地面に落ちている場所も目立つ。「残った根や節から再び成長するだけでなく、種子が拡散するので草刈り機は逆効果」と指摘する。
最も効果的な駆除は、株の中心部が結実する前の11月中旬~12月末に、抜き取りや除草剤で片付け、分岐の枝から種子ができる前の2~4月上旬に再度確認することという。
初夏に見つけたら安全のため革手袋を着用しスコップやくわで根ごと掘り取る。飛び散った種子は吸着ロールなどで回収するといい。窪さんは「適した期間に徹底駆除し、定期的な見回りをすれば2~3年で撲滅は可能。地域や行政と連携して取り組んで」と話す。
「こちら373」には東京からの反応も。道路維持・清掃業の日本ロード・メンテナンスが「熱湯による雑草の防除技術を開発中。4月からメリケントキンソウで実験を始めた」とメールを寄せた。
車両・機械用の温水高圧洗浄機を使って約100度の熱湯をかけることで枯らせないか、東京農業大学と共同研究している。
根のタンパク質を熱で変化させ、死滅させる仕組み。メリケントキンソウに目をつけ、処理してみると、周囲の芝や植物にダメージを与えず駆除できた。湯熱は土の深層まで届かないため、根が浅いメリケントキンソウはこの方法に適しているようだ。同社は「西日本で急速に生息域を広げていると聞く。環境にも優しいので実用化を目指したい」としている。
■メリケントキンソウ
南米原産のキク科の1年生植物。高さ3~20センチで地面にはうように生え、秋ごろに発芽する。株の中心部は1月以降、分岐した枝の部分は4~5月ごろそれぞれ結実して果実に25~40本のとげ(種子)ができる。2~3ミリのとげは靴底やタイヤに刺さって運ばれる。