ヘルプカード(左)とストラップ型のヘルプマーク(右)
障害や病気がある人、妊婦らが、周囲に支援を求める「ヘルプカード」を持つ鹿児島市内の男性から「あまり知られておらず、使いづらい」という声が、南日本新聞の「こちら373」に届いた。みなさんはカードを知っていますか。
カードは全国に広がっており、県は2019年7月から発行。免許証とほぼ同じ大きさで、表は赤地に白い十字とハートをあしらったヘルプマークと「あなたの支援が必要です」の文字が記されている。裏には「手伝ってほしいこと」を自由に記入する。対象は外見から配慮や支援が必要かどうか分からない人工関節や義足、病気、妊娠初期などの人で、障害や障害者手帳の有無は問わない。
21年7月からはストラップ型マークも配布。裏面に支援内容を記したシールを貼ることができる。カード、マークとも市町村窓口や県庁、県地域振興局などで配布し、県は郵送も受け付けている。今年3月までの配布はカード約4500枚、マーク約2400枚。
声を寄せた40歳代男性は内部障害があり、バスや電車では少しのカーブでも立っているのがつらいという。「かばんにマークを付けているが、浸透しておらず、ちらちらと見るだけの人が多い。声をかけてもらうと席を譲ってほしい、と伝えられるが、自分からは言いにくい」と明かす。「バスや電車で通学する子どもたちへの周知も進めてほしい」と要望した。
県は昨年度までに啓発用のポスター約8400枚、チラシ約2万4000枚を交通事業者や市町村、学校などに配布、広報紙でも紹介した。障害者支援室は「理解が広がるよう継続的にPRに取り組む」と説明。「マークを見かけたら席を譲ったり、声をかけたりと思いやりのある行動をお願いしたい」と呼びかけている。
日本リウマチ友の会鹿児島支部長の黒木恵子さん(66)=鹿児島市=もマークを携帯する1人。「啓発活動とともに、マークを持っている人が積極的に利用すれば、理解が広がる。都会ではマークを見るとすぐに席を譲ってくれる。鹿児島でも早くそうなるよう願っている」と話した。