九州電力熱中症予防プランの申し込み用WEBページの一部
九州電力が熱中症予防のため高齢者向けに実施する電気料金プランについて「インターネット申し込みしか受け付けておらず不便だ」との声が寄せられた。ネットはこの20年余りで普及したものの、高齢世代ほど利用率が低い現状がある。ニーズとのギャップが不満の背景とみられる。
75歳以上の高齢者が暮らす世帯を対象に9月の電気料金を割り引く「熱中症予防プラン」。8月20日までにホームページ専用ページから申し込む。エアコンや扇風機を気兼ねなく使ってもらう触れ込みだ。九電は狙いを「(契約者獲得など)メリットを目指すものではなく、地域貢献活動としての熱中症対策」とする。
熱中症は夏の大敵で命に関わるケースもある。消防庁の調査によると、2023年5~9月、鹿児島県内で救急搬送された1546人のうち58.0%が65歳以上、発生場所は住居が最多の37.8%を占めた。
今夏は太平洋高気圧が平年より強いことなどが要因となって猛暑が続く。九電はプランへの申し込み状況を示すのは難しいとする一方、前回20年に同様に実施した際は約16万件があったとする。ニーズの高さをうかがわせる。
ただ、ネックとなるのが申し込みがネットに限られる点。総務省調査で23年のネット利用率は、13~59歳では100%に近いものの、60~69歳90.2%、70~79歳67.0%、80歳以上36.4%と年齢が上がるにつれて低くなる。75歳以上の高齢者にとって親切とは言いがたい状況だ。
九電は電話申し込み可とした20年と異なり、今回はネットのみとした理由を「前回はコールセンターにつながるまで待たせてしまい、迷惑をかけてしまった」と説明。申し込み方法を変更する予定はないとし、「どうしても難しい場合はコールセンターに問い合わせてもらった上で個別の対応を検討したい」と理解を求めている。