上色見熊野座神社を訪れ、参道で記念写真を撮る外国人観光客=高森町=熊本県高森町
阿蘇外輪山の麓にある熊本県高森町の上色見熊野座(かみしきみくまのざ)神社。杉林が覆い、拝殿へと伸びた長い参道にコケむした石灯籠が居並ぶ。神々しさを醸し出す神社は、パワースポットとして日本人観光客に人気だ。ところが「2年前から訪日客が急増した」(同神社)という。
5月の土曜日、県外ナンバーの車が並ぶ神社の駐車に観光バスが入ってきた。降りてきたのは、中国や台湾からのツアー客約40人。参道で友人と写真を撮っていた中国人の女性客(28)は「2カ月前、ある映画を観て行こうと決めたの。作品と同じく、とても美しいわ」と感激した様子。
その映画とは、アニメ「蛍火(ほたるび)の杜(もり)へ」(2011年公開)。「夏目友人帳」で知られる熊本県出身の漫画家緑川ゆきさんの作品が原作。上色見熊野座神社はそのモデル地で、ファンにとっては〝聖地〟だ。
勝木富昭・総代長(70)によると、外国人の団体客が急増した2年前、参道や駐車場でごみのポイ捨ても目立った。バスの添乗員や運転手に根気強く注意を促し、最近は改善がみられてきたという。
駐車場では常設トイレ整備も進む。勝木さんは「神社に魅力を感じてもらうことはありがたい。せっかくなら気持ち良く帰ってもらいたい」と暖かく見守る。