本物志向の神楽体験を提供  外国人の高千穂ツアー受け入れる「訪う」 地域の負担減らし持続可能性追求(宮﨑日日新聞)

2025/07/06 06:00
ツアー客に天岩戸神社の案内板前で説明する日高葵さん=高千穂町(訪う提供)
ツアー客に天岩戸神社の案内板前で説明する日高葵さん=高千穂町(訪う提供)
 名勝・高千穂峡を抱え、日向神話が息づく宮崎県高千穂町。推計で年間約130万人が訪れる県内随一の観光地で、訪日外国人のツアー受け入れを手掛ける会社が「訪(おとな)う」だ。

 最高経営責任者(CEO)で、ラオスでコンサルティング会社勤務の経験もある日高葵さん(36)が、2017年に宮崎市で設立。国の重要無形民俗文化財「高千穂の夜神楽」に感銘を受け、20年に同町へと本社を移した。

 これまで、受け入れたのは10カ国150人以上。客層は英語圏中心で、本物志向が強く訪日経験2回目以上の人が主流だ。日高さんは「旅の感動は目的地までの距離に比例して期待値が高い」と誘客の狙いを語る。

 醍醐味(だいごみ)は、限りなく本番に近い夜神楽を体験できる独自のプログラムだ。舞台となる民家を訪れる前、酒屋に立ち寄って参加者に供物の焼酎2本縛りを購入してもらうのも、一晩限りの住民「一夜氏子」としての作法の一つ。「暮らしに根付き、脈々とバトンをつないできた神事芸能。ショーではない地域文化を体験してもらう」と思いを込める。

 人手に限りがある中山間地域。日高さんは、地域での女性初の神楽保存会員として、地域文化を次代につなぐ貴重なプレーヤーの一人だ。地域への負担をできる限り減らすことが持続可能性を高めると信じる。「できないこと、やらないことを整理する。その上で暮らしの中の祈りを五感を使って体感する、唯一無二の旅を提案していきたい」と見据えた。
LINEから情報提供
以下のボタンからLINEで友だち追加して、メッセージを送ってください。アンケートなども実施します。
フォームから情報提供
以下のボタンから専用フォームへ行き、メッセージを送ってください。
ファクスから情報提供
ファクス:099-813-5174
郵便から情報提供
〒890-8603
鹿児島市与次郎1-9-33
南日本新聞社「こちら#373」係
【おことわり】
 すべてを取材できるわけではありません。公共性に乏しいと思われるケース、裁判で係争中の案件など、報道機関として取材するのが困難な場合もあります。ご理解ください。
 取材のために記者が返信する場合があります。取材源は秘匿しますのでご安心ください。

日間ランキング >