南日本新聞の「黒ヂョカ」は、1951(昭和26)年2月17日付に初登場しました。読者の身の回りで起きたユーモア話を、登場人物の似顔絵をつけて紹介する名物企画です。ウェブでもお楽しみください。

干天の慈雨

2025年9月18日
干天の慈雨
 ○…湧水町田尾原の坂口昇市さん(84)は週6日、テニスを楽しむ。ある日、霧島市での練習を終え昼食を取ろうと、木陰がある天降川の河川敷へ。ところが、先日の大雨でできたぬかるみに、車のタイヤがはまってしまった。

 ○…立ち往生して途方に暮れていると、現場に居合わせた作業服姿の男性3人が助けに来てくれた。彼らの軽トラとロープでつないで引っ張ってみたが、失敗。ならばと坂口さんも自分の車に乗り、軽トラと息を合わせてアクセルをふかせる。見事、脱出できた。

 ○…3人は汗びっしょり。お礼に飲み物でも、と財布を取り出そうとしたところ、軽トラでさっそうと去って行った。車体には「霧島市」の文字。被災地の復旧作業に当たる市職員だったようだ。大雨の災害は勘弁してほしいけれど、心優しい職員たちには、感謝感激の雨あられを大いに降らせたい坂口さんだった。
(伊佐支局)

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